セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 182:ABO血液型不適合症例に対する生体肝移植:当科の成績 |
演者 | 高槻 光寿(長崎大学) |
共同演者 | 江口 晋(長崎大学), 川下 雄丈(長崎大学), 渡海 大隆(長崎大学), 日高 匡章(長崎大学), 曽山 明彦(長崎大学), 永吉 茂樹(長崎大学), 望月 聡之(長崎大学), 兼松 隆之(長崎大学) |
抄録 | 背景:種々の工夫により、従来相対禁忌とされていたABO血液型不適合症例に対する生体肝移植の成績は向上しつつあり、ドナープール拡大に寄与することが期待されている。目的:ABO血液型不適合症例に対する生体肝移植の、当科の工夫と成績を提示する。症例:2005年12月までに当科で施行した54例の生体肝移植症例のうちABO不適合症例は3例であった。症例1)11ヶ月女児、胆道閉鎖症、ドナー母親、外側区域グラフト、A+→O+ 症例2)53歳女性、遅発性肝不全、ドナー実子、右葉グラフト(自己肝温存同所性肝移植(APOLT)、A+→O+ 症例3)54歳女性、C型肝硬変、ドナー配偶者、拡大左葉グラフト、B+→A+ 方法:全例術前に抗A/B抗体価を下げる目的(目標8倍以下)で血漿交換を行い、症例2は術前にエンドキサンを投与し、術中より経門脈的にステロイド、フサン、PGE1を2週間持続投与した。症例3はステロイドとPGE1を経肝動脈的に投与、フサンを全身投与とし、さらに抗CD20抗体であるリツキシマブを手術1週間前に1回投与した。全身的な免疫抑制療法として、症例1はプログラフとステロイド、症例2,3はステロイドを局所投与している間はプログラフのみとし、中止後ステロイドを経口投与に切り替えた。結果:症例1,2は術後速やかに肝機能は正常化し、拒絶反応を経験することなく経過、症例3は術後早期に原因不明の黄疸が遷延したが、高気圧酸素療法で改善した。それぞれ術後観察期間58ヶ月、42ヶ月、11ヶ月で良好な肝機能を維持して生存中である。いずれの症例も術後ドナーに対する抗A/B抗体価は上昇することなく経過した。症例3は血中CD20値を経時的に測定しているが、これも低値のまま経過している。結論:以前は相対禁忌とされたABO血液型不適合症例に対し種々の工夫をこらし、良好な結果を得ることができた。 |
索引用語 | 生体肝移植, 血液型不適合 |