セッション情報 ワークショップ1

タイトル W-016:

SLEの経過中に発生した肝血管筋脂肪腫の一切除例

演者 大平 洋明(宮崎大学 医学部 第二内科)
共同演者 楠元 寿典(宮崎大学 医学部 第二内科), 藤本 千夏(宮崎大学 医学部 第二内科), 三池 忠(宮崎大学 医学部 第二内科), 沼田 政嗣(宮崎大学 医学部 第二内科), 児玉 眞由美(宮崎大学 医学部 第二内科), 蓮池 悟(宮崎大学 医学部 第二内科), 永田 賢治(宮崎大学 医学部 第二内科), 宇都 浩文(宮崎大学 医学部 第二内科), 林 克裕(宮崎大学 医学部 医学教育改革推進センター), 近藤 千博(宮崎大学 医学部 第一外科), 千々岩 一男(宮崎大学 医学部 第一外科)
抄録 【はじめに】今回我々は, 発症前の画像が確認されたSLE腎症に発生した肝血管筋脂肪腫の1切除例を経験したので報告する.【症例】61歳、女性。1982年よりSLEのためステロイドによる治療を受けており, 1999年SLE腎症のため当院第一内科に入院, 血液透析を導入され, 以後近医にて維持透析を受けていた。2005年夏頃より労作時に動悸が出現するようになり10月に当院を受診, 胸部CTにて肝外側区域に肝腫瘤影を認めたため当科に紹介された. 腹部エコーでは外側区域に径6cm大の一部肝背側に突出した高エコー腫瘤性病変を認め, 腹部造影CTで腫瘤は単純で不均一な低吸収で動脈相で不均一に強く造影され, 平衡相で造影効果が均一化した. このため, 肝血管筋脂肪腫が疑われ, 11月21日精査目的で当科に入院した. 血液検査ではT-Bil 0.4mg/dl, AST 12IU/L, ALT 4IU/L, LDH 173IU/L, γ-GTP 14IU/L, AlP 139IU/L, T-cho 170mg/dl, CRP 0.3mg/dl, ICGR15 3.6%, HBs-Ag(-), HCV-Ab(-), AFP 3.5ng/ml, CEA 1.8ng/ml, CA19-9 37U/mlであり, 肝・胆道系酵素は正常で, 肝炎ウイルスマーカー, 腫瘍マーカーは陰性であった, 腹部MRIでは左葉外側区から尾側に突出する径約6×5×6cmの境界明瞭、辺縁整の腫瘤が認められ、腫瘍内部にはout-of-phase、脂肪抑制にて信号低下をきたす領域が認められた。脂肪成分の混在が示唆された. 腹部血管造影検査では、肝動脈A3領域にhypervascular tumorを認め, 後期相で強く濃染された. Gaシンチでは腫瘍部に一致した欠損像を認めた. 異常の所見から肝血管筋脂肪腫と考えられたが, 1999年の透析導入の際のCT検査では肝腫瘍はみられず, 増大傾向であること, また腫瘍の一部が肝外に突出しており, 腹腔内破裂の危険性も考えられたため患者にインフォームドコンセントを行い, 切除することとし, 当院第一外科にて拡大左葉切除術を施行した。病理所見は、肝血管筋脂肪腫であった。術後経過は良好であり、外来経過観察中である。【考察】肝血管肉腫は比較的稀な症例であり急速進行性で予後不良の疾患である。今回我々は比較的早期に発見され治療できた症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝血管筋脂肪腫, 肝腫瘍