セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 40:皮膚メルケル細胞癌腹腔内転移による十二指腸閉塞の1剖検例 |
演者 | 檜沢 一興(公立学校共済組合九州中央病院内科) |
共同演者 | 栗原 秀一(九州大学大学院形態機能病理学), 中守 真理(九州大学大学院形態機能病理学), 中原 束(公立学校共済組合九州中央病院内科), 宮本 竜一(公立学校共済組合九州中央病院内科), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学大学院病態機能内科学) |
抄録 | Merkel細胞癌は皮膚感覚受容体であるMerkel細胞に由来する稀な神経内分泌細胞癌である.全身転移能を有する極めて悪性度の高い腫瘍であるが、消化管転移の報告は少ない.我々は皮膚Merkel細胞癌の腹腔内転移により短期間に十二指腸閉塞を来たした剖検例を報告する.症例は85歳、女性.2003年11月、右眉毛部に2cmの腫瘤が出現し当院皮膚科を受診した.摘出標本の病理所見にてメルケル細胞癌と診断し放射線50Gyを照射した.2004年2月、右顎下腺、頚部リンパ節に転移を認め放射線50Gyを照射した.2004年10月のMRIにて転移巣は消失し、全身CTでも他に再発はなかったが、2005年7月5日、頻回の嘔吐が出現し当科緊急入院となった.検査成績では軽度の鉄欠乏性貧血のみだったが、腹部CT検査にて腹腔内に14x7cmの内部不均一な不整腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃体部を中心に多発びらんを伴う皺襞の著明な不整硬化像を認めた.X線造影検査にて胃壁は腹腔内腫瘤により著明に圧排され、十二指腸水平部は嘴状に狭窄していた.以上より皮膚メルケル細胞癌の腹腔内転移による胃十二指腸浸潤と診断した.抗癌治療は希望されず、胃管による減圧とモルヒネの増量による緩和ケアを行い、平成17年8月23日に死亡された.病理解剖の結果、後腹膜を中心に浸潤性に発育する18x12x5cmの充実性腫瘤を認め、割面では広範な出血、壊死を伴い、胃、十二指腸、膵臓に直接浸潤していた.組織学的には皮膚原発巣と同様の小型円形の腫瘍細胞がびまん性に増殖していた.免疫組織学的には上皮性細胞マーカーおよび神経内分泌細胞マーカーに陽性であるが、リンパ球系マーカー、KITおよびS100蛋白には陰性であり、皮膚メルケル細胞癌の転移と診断した. |
索引用語 | 消化管転移性癌, 十二指腸閉塞 |