セッション情報 一般演題

タイトル 99:

大動脈型特殊リザーバー(システム-I)を介したDSM併用化学塞栓療法により著効を得た肝細胞癌の1例

演者 板野 哲(久留米中央病院)
共同演者 久富 順次郎(久留米中央病院), 久富 斉子(久留米中央病院), 田尻 能祥(久留米大学医学部第二内科), 佐田 通夫(久留米大学医学部第二内科)
抄録 我々は進行肝細胞癌に対し肝動脈リザーバーを用いたlow dose FP療法を用いてきた。しかし肝外動脈が発達している例や置換型を有し栄養動脈が複数ある例など、通常のリザーバーでは対応できない症例も多い。今回我々は従来のリザーバーでは治療困難な2症例に対し大動脈型特殊リザーバー(システム-I)を用いた分割的DSM併用化学塞栓療法を行った。【症例1】65歳、男性。C型肝硬変合併肝細胞癌にて経皮的に治療されていたが、2004年9月にPIVKA-II:580mAU/mlの多結節性再発を認め、左上腕リザーバーよりlow dose FPを受けたが効果に乏しく、2005年3月には塊状型に増大。PIVKA-IIも2840 mAU/mlと上昇。リザーバーからのCTHAで肝外動脈からの栄養が示唆され、システム-Iに交換。腫瘍の大部分は右下横隔動脈から栄養されており、外来にて下横隔動脈へのDSM併用化学塞栓術をbiweeklyで施行。抗癌剤はアイエーコール(IAC)を使用した。9月までに計9回施行し、PIVKA-IIは19mAU/mlまで低下した。【症例2】68歳、男性。肝障害度Bの肝硬変症合併肝細胞癌として2005年4月に入院。上腸管膜動脈分岐の置換型右肝動脈を有しており、S1の径3cm超2結節が左右から栄養されていた。肝動脈を1本化する血行改変は逡巡される状況であり、全肝型動注も肝機能の面から長期間は困難であったためシステム-Iを留置。左右交互にDSM併用FP療法(DSM+IACにて塞栓30分後に5FUを3時間持続動注)を計11回施行し、PIVKA-IIが11300mAU/mlから64mAU/mlまで低下した。【結語】システム-Iは外来通院でその都度選択的IVR治療が可能なリザーバーシステムであり、DSMと微粉末シスプラチンによって従来の肝動脈リザーバーを用いたlow dose FPに匹敵した治療成績が期待される。
索引用語 肝細胞癌, システム-I