セッション情報 | ワークショップ1 |
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タイトル | W-012:FOLFOX4による治療中に興味深い腫瘍進展を認めた大腸癌術後再発の一剖検例 |
演者 | 首藤 充孝(大分大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 簀戸 聖子(大分大学 医学部 消化器内科), 村上 和成(大分大学 医学部 消化器内科), 松成 修(大分大学 医学部 消化器内科), 高山 明子(大分大学 医学部 消化器内科), 八坂 成暁(大分大学 医学部 消化器内科), 小野 雅美(大分大学 医学部 消化器内科), 沖本 忠義(大分大学 医学部 消化器内科), 児玉 雅明(大分大学 医学部 消化器内科), 佐藤 竜吾(大分大学 医学部 消化器内科), 藤岡 利生(大分大学 医学部 消化器内科), 近藤 能行(大分大学 医学部 病理学第1), 横山 繁生(大分大学 医学部 病理学第1) |
抄録 | 症例は79歳男性。1998年に大腸癌の手術を施行された。2004年7月に後腹膜腫瘍を指摘、生検にてadenocarcinomaと診断され、大腸癌の転移によるものと考えられた。TS-1 80mg/day内服を開始し効果を示したが、6クール目以降CEAの上昇を認めたためTS-1+CPT-11に変更。腫瘍はその後も増大傾向でありCEA上昇が続くため、2005年7月よりFOLFOX4(オキサリプラチン・ロイコボリン・5-FU併用療法)による治療を開始した。5クール施行しCEAは治療前の129.6 ng/mlより21.5 ng/mlまで改善し、腫瘍は縮小傾向であった。化学療法によるgrade 3以上の重篤な副作用は認めず、FOLFOX4を計7クールを行ったが、その後12月31日より下痢・下血が出現。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸吻合部より口側に向かう縦走潰瘍を認めた。1月7日より38℃台の発熱が出現。9日には血圧・意識レベルが低下し、血液検査ではCRP 27.9mg/dlと上昇、BUN 39.7 mg/dl、Cr 2.93 mg/dlと腎機能障害を認めた。40℃の発熱も認め、その後も全身状態は増悪し1月12日に永眠された。病理解剖にて、リンパ節転移により一塊になった腫瘍が腎動脈分岐部より下方の腹部大動脈から左内腸骨動脈にかけて累々と認められ、下大静脈、左腎静脈、左副腎静脈に腫瘍塞栓が見られた。左副腎への転移、腰椎(L4)の骨破壊も認めた。組織学的に中分化腺癌であった。少量の壊死が見られたが、大部分の腫瘍細胞はviableであり、組織学的治療効果はGrade 1a相当であった。また剖検時、回盲部から直腸に至る全大腸に全周性帯状の潰瘍を認めた。臨床的に線状潰瘍として初発したこと、組織学的に潰瘍部の粘膜下層にfibrin血栓の形成が認められることから、広範な虚血性腸炎によるものと考えられた。下腸間膜動脈の根部での腫瘍による圧排狭窄が虚血の原因であり、直接死因は大腸潰瘍による全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome)と、腎不全によるものと考えられた。以上、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | FOLFOX4, 大腸癌術後再発 |