セッション情報 ワークショップ1

タイトル W-002:

腹腔鏡補助下小腸切除術を施行したGISTの一例

演者 木下 真理子(医療法人同心会 古賀総合病院 )
共同演者 指宿 一彦(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 後藤 崇(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 山本 淳(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 中島 健(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 谷口 正次(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 吉川 智(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 田井 博(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 河野 通一(医療法人同心会 古賀総合病院 ), 古賀 和美(医療法人同心会 古賀総合病院 )
抄録 【目的】腹腔鏡補助下に摘出したGISTの一例を報告する。【症例】78歳,女性。近医にて外来透析施行中であったが、2003年6月中旬頃より黒色便出現。同院で上部消化管内視鏡受けるも異常は指摘されず、合併した貧血に対し造血剤の投与をうけ経過観察されていた。7月25日、近医にてHb 5.5 g/dlと貧血の増悪を指摘され入院。再度上部消化管内視鏡検査を受けたが異常は指摘されなかった。7月29日、精査加療目的にて当院紹介入院した。上部消化管内視鏡にて空腸に潰瘍と露出血管を伴うSMTを認め、同病変からの出血による貧血と考えられた。SMTより生検を施行したが、腫瘍組織は確認できなかった。上部消化管造影検査ではTreitz靭帯よりやや肛門側の空腸に表面平滑な管外性の圧排像を認め、腹部血管造影にてSMAの第一空腸枝から栄養されるhypervascular tumorが描出された。腹部CTでは胆石を認めたが、肝の占拠性病変は指摘されなかった。以上より空腸GISTと胆嚢胆石症と診断し、同年8月23日腹腔鏡下胆嚢摘出術及び腹腔鏡補助下小腸部分切除術を行った。切除標本は3.6×2.3×2.0cmの管外型腫瘍で、潰瘍を伴っていた。【結果】病理学的には、腫瘍は中等度異形の紡錘状形態を呈する細胞の密な増殖よりなっており、強拡大で10視野に0~1個の細胞分裂像を認めた。リンパ管浸潤、血管浸潤は認めなかった。免疫染色においてはc-kit(+)、CD34(+)、vimentin(+)、S-100(-)で、低悪性度のGISTと診断した。術後2年7ヶ月経過した現在、再発、転移は認められていない。【考察】本邦では5cm未満の粘膜下腫瘍に対して低侵襲を目的に積極的な腹腔鏡下手術が行われているが、その安全性については現在報告が待たれている。現在までに腹腔鏡補助下に空腸GISTを摘出した症例は、自検例を含め6例の報告がある。本症例では、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し、同手術中に腫瘍の位置、可動性を確認した。病変がTreitz靭帯近くに存在していたため、腹腔鏡補助下に切除可能かを判断することにより、効率的な病変摘出が可能であったと考える。
索引用語 GIST, 腹腔鏡