セッション情報 一般演題

タイトル 157:

保存的療法で寛解した上腸間膜静脈・門脈血栓性静脈炎の2例

演者 山川 正規(長崎市立市民病院内科)
共同演者 山尾 拓史(長崎市立市民病院内科), 福田 俊夫(長崎市立市民病院放射線科), 井出 美桜子(長崎大学第二内科), 大仁田 賢(長崎大学第二内科), 水田 陽平(長崎大学第二内科), 河野 茂(長崎大学第二内科)
抄録 上腸間膜静脈・門脈血栓性静脈炎は稀であるが、死亡率は高くその早期診断・早期治療は重要である。今回、我々は保存的療法で寛解した上腸間膜静脈・門脈血栓性静脈炎の2例を経験したので報告する。症例1は、41歳男性。発熱で来院。初診時CTで右側腹部の血管周囲脂肪織濃度の上昇が見られたが上腸間膜静脈の腫大は見られなかった。6日目の造影CTでは上腸間膜静脈の拡張と内腔の血栓形成が認められ、血栓形成は門脈本幹にも及んでいた。入院時の血液培養でbacteroides fragilis陽性であり、抗生物質の投与と抗凝固療法を行ったところ、47病日で軽快退院となった。症例2は、52歳男性。腹痛で来院。白血球増多とCRP上昇あり。造影CTで上腸間膜静脈から門脈は拡張し、周囲脂肪織濃度の上昇と内腔の血栓形成を認めた。抗生物質の投与と抗凝固療法を行い、33病日で軽快退院となった。近年、上腸間膜静脈血栓性静脈炎は、CTなどの画像診断の進歩により発症早期に診断されるようになってきたが、特に症例1では、血管周囲脂肪織のCT値上昇が上腸間膜静脈の拡張より早く見られており、上腸間膜静脈血栓性静脈炎の初期像として重要と考えられた。治療法に関しては、IVRによる治療法なども報告されているが、今回我々が経験した2例はいずれも抗生物質の投与と抗凝固療法の併用で寛解しており、本症例において有効な治療法の一つと考えられた。
索引用語 上腸間膜静脈・門脈血栓性静脈炎, CT