セッション情報 一般演題

タイトル 128:

経口的にタクロリムスを投与したが血中濃度が充分上昇しなかった難治の潰瘍性大腸炎の1例

演者 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器科)
共同演者 新関 修(大分赤十字病院 消化器科), 江藤 寛之(大分赤十字病院 消化器科), 井上 恵(大分赤十字病院 消化器科), 神宮 則彦(大分赤十字病院 消化器科), 草野 徹(大分赤十字病院外科), 木下 忠彦(大分赤十字病院外科), 清家 正隆(大分大学付属病院消化器内科)
抄録 症例は48才、女性、主婦。38歳で発症。ステロイド投与により寛解導入出来たが減量すると再燃し慢性持続型でステロイド依存型になった。平成16年まで入退院(計8回)を繰り返しその都度ステロイド増量し退院していた。平成16年3月よりトプシム注腸を併用し同年11月にステロイドを離脱した。約10年間ステロイドを使用し総投与量は10gを超えていると思われた。平成17年2月より、腹痛、顕血便が増悪し当院に入院した。 当院入院時:Hb 9.3 g/dl Alb 3.7g/dl。CMV抗原(-)。CFでは血管透見像の消失と自然出血を認めた. CTでは左側大腸に炎症による壁肥厚を認めた。絶食、TPN管理、ATM療法、抗生剤投与、注腸療法(トプシム、プロパデルム、ペンタサ)、LCAP、ステロイド投与などで加療したが症状改善せず貧血、低アルブミン血症が進行した。難治であるため手術をすすめたが御本人は内科的加療を強く希望されたためタクロリムスを投与した。タクロリムスはトラフ値: 10-15 ng/mlを目標に0.1mg/kg/日より経口で投与開始した。しかしトラフ値が上昇せず、トラフ値を測定しながら目標値を目指してタクロリムスを増量した。O.3mg/kg/日まで増量後トラフ値: 9 ng/mlに達した。腹痛、顕血便などの臨床症状や内視鏡像の軽度の改善を認めた。しかしO.3mg/kg/日に増量後、白血球減少と貧血が出現しタクロリムスを中止せざるを得なかった。投与中止後、再び増悪したので御本人とよく相談したうえで当院外科に転科し腹腔鏡補助下大腸全摘術、回腸ストーマ造設術を施行した。タクロリムスは経口投与によっても安定した血中濃度が得られる免疫抑制剤であるがこのような症例を経験したので報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス