セッション情報 一般演題

タイトル 14:

胃Inflammatory fibroid polyp(IFP)の1例

演者 瀬戸山 博子(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 吉田 健一(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 荒井 光広(済生会熊本病院 外科), 志垣 信行(済生会熊本病院 外科), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理部), 大門 秀光(おおかど胃腸科クリニック)
抄録 症例は38歳、女性。2004年7月、健康診断目的の胃X線検査にて異常を指摘されたため、おおかど胃腸科クリニックにて上部消化管内視鏡検査を受けた。その際、胃幽門前庭部前壁に半球状の胃粘膜下腫瘍を認め、生検の結果、Group 1であった。1年間の経過観察の後、精査加療目的にて、2005年10月3日当センター入院となった。当センターで行った上部消化管内視鏡検査においても、胃幽門前庭部前壁に粘膜下腫瘍を認めた。病変は半球状で表面平滑、頂部には潰瘍を形成し周囲に発赤を伴っていた。陥凹面からの生検ではGroup1の診断であった。胃X腺検査では、胃幽門前庭部前壁に3cm大のbridging foldを伴う隆起性病変を認めた。腹臥位で病変部は最大径3cmの辺縁明瞭で表面平滑な病変として描出された。その際、病変内部には類円形のバリウム斑を認めた。超音波内視鏡検査では、病変は第3層に限局する境界比較的明瞭な低エコー領域として描出された。腹部造影CTでは、早期相から晩期相にかけて次第に造影される富血管性の腫瘤として描出され、周囲への浸潤などはみられなかった。本症例は診断に際し、悪性の可能性が否定できず、2005年10月11日腹腔鏡下幽門側胃切除術+1群リンパ節郭清術が施行された。切除標本にて病変の大きさは32 x 28mmであり、病理組織学的には、好酸球やリンパ球からなる炎症細胞の浸潤や膠原線維と小血管の増生を認め、最終診断はInflammatory fibroid polypであった。悪性の所見はみられなかった。Inflammatory fibroid polyp (IFP)は比較的稀な反応性炎症性のポリープで、好発部位は胃幽門前庭部とされている。また一般に有茎性あるいは無茎性の隆起性病変で、大きさは2cm以下のことが多いと報告されている。今回、我々は術前診断が困難であったIFPの1例を経験したので、超音波内視鏡検査(EUS)を施行した胃IFPの本邦文献報告例を中心に文献的考察を加え報告する。
索引用語 Inflammatory fibroid polyp, 超音波内視鏡