セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
77:無汗症,後腹膜線維症を合併した自己免疫性膵炎の一症例
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演者 |
小薗 雅哉(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 |
矢野 貴文(今村病院分院消化器内科), 上田 博一郎(今村病院分院消化器内科), 高崎 能久(今村病院分院消化器内科), 坪内 博仁(今村病院分院消化器内科) |
抄録 |
症例は76歳男性.3カ月間で7Kgの体重減少、便秘、腹部膨満感出現.平成17年12月近医受診し,胸腹部CTを行い,後腹膜線維症が疑われた.空腹時血糖が高値であったため12月今村病院分院糖尿病内科を紹介受診しインスリン導入.平成18年1月中旬より肝胆道系酵素の上昇を認め,腹部超音波検査にて総胆管の拡張と胆嚢の腫大,壁肥厚,膵頭部に低エコーを認め精査目的で当科入院となった.腹部CT上膵頭部の腫大と同部位に造影効果を有する占拠性病変が疑われ,総胆管は膵外で拡張していた.また,腹部から腸骨動脈の範囲で大動脈周囲に全周性の繊維化巣が見られた.内視鏡的逆行性膵胆管造影検査では膵内胆管,主膵管はともに膵頭部で糸状に狭窄しており,体部主膵管は拡張像や狭窄像は認めなかった.胆道系酵素の改善目的で狭窄した胆管に,tube stentを挿入し肝胆道系酵素は比較的速やかに改善が見られた.なお,CA19-9は正常範囲であった.CT,内視鏡的逆行性膵胆管造影検査より,自己免疫性膵炎の可能性が示唆され,各種検体検査を提出した.抗核抗体は40倍未満,IgG 1659と正常であったが,γグロブリンは21%,IgG4は385mg/dl と増加しており,自己免疫性膵炎に矛盾しない所見であった.また,SS-A,SS-B抗体はともに正常範囲であったが,無汗症を合併していた.プレドニゾロン30mgの内服を開始し,腹部CT,内視鏡的逆行性膵管造影にて治療効果判定を行った.プレドニゾロン開始後CT上膵頭部の腫大は消失し,造影効果も均一となった.また,内視鏡的逆行性膵管造影上膵管の狭窄は改善し,治療効果は良好であった.また,後腹膜線維症による大動脈周囲の肥厚も若干の改善が見られた.近年,自己免疫性膵炎の合併症として,後腹膜線維症やSjogren症候群などの合併例の報告は散見されるようになってきている.しかしながら,本症例のように無汗症,後腹膜線維症が自己免疫性膵炎と同時に合併した症例は稀と考えられた. |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, 合併症 |