セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 178:不明熱、肝障害を契機に発見された高齢発症非関節炎型成人Still病の一例 |
演者 | 宮山 祐美子(熊本中央病院 消化器科) |
共同演者 | 松下 郁雄(熊本中央病院 消化器科), 川原 裕子(熊本中央病院 消化器科), 工藤 洋子(熊本中央病院 消化器科), 尾崎 幹(熊本中央病院 消化器科), 櫻井 健一(熊本中央病院 消化器科), 工藤 浩徳(熊本中央病院 内分泌代謝科), 北岡 光彦(熊本中央病院 病理研究科) |
抄録 | 症例は60歳代女性。平成15年に肝障害を指摘され、当院にて入院精査を行ったが、B型肝炎ウイルスマーカー陰性、C型肝炎ウイルスマーカー陰性、抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体陰性で、肝生検は本人拒否により施行できず、特発性肝障害として経過観察されていた。平成17年12月上旬に咽頭痛が出現し、同月中旬頃から39度前後の発熱が持続し、食欲低下、全身倦怠感が増悪していた。肝障害も持続し、精査を要すると考えられ、平成18年1月10日に当科紹介入院となる。入院時の検尿にて尿路感染徴候を認め、抗生剤にて治療を開始した。しかし、尿路感染徴候改善後も39度前後の発熱が持続していた。感染症、腫瘍性病変、膠原病を含めた疾患を考慮し、諸検査を実施。その結果、感染症、腫瘍性病変は否定的であり、高熱の持続、好中球を主体とする白血球増多、有熱時に増悪する皮疹、また咽頭痛、脾腫、肝障害、リウマトイド因子・抗核抗体陰性と血清フェリチン著増を認めたことなどから高齢発症非関節炎型成人Still病と診断した。肝障害に関しては、3年前にも指摘があり、他疾患の併存の可能性を考え、肝生検を実施した。肝生検では小葉内に散在性に軽度空胞変性を伴い、淡好酸性~好酸性で腫大した胞体の肝細胞が見られた。門脈域にはリンパ球、好中球などの軽度炎症細胞浸潤、軽度~中等度の線維化像も見られた。成人Still病の肝障害では薬剤性肝障害との鑑別が問題になるが、肝障害の原因となる薬剤の使用歴はなく、成人Still病に伴う肝組織像として矛盾はないものと考えられた。診断後、経口ステロイド剤を使用し、経過は良好であり、肝障害も改善傾向を示した。成人Still病は、小児の慢性関節炎である若年性関節リウマチのうちの全身発症型が成人に認められるものと定義される。発熱、リンパ節腫脹、皮疹を三徴候とし、その他関節炎、リンパ節腫脹、肝障害などを伴う全身性疾患である。本症例では成人Still病の主要な症状である関節炎所見を欠き、診断に苦慮した一例であるが、肝障害、不明熱の鑑別に際して考慮すべき疾患と考えられたため、報告する。 |
索引用語 | 肝障害, 不明熱 |