セッション情報 一般演題

タイトル 86:

肝細胞癌治療後のIFN投与開始早期に再発を認めた2症例

演者 久富 順次郎(久留米中央病院)
共同演者 板野 哲(久留米中央病院)
抄録 近年、肝細胞癌(以下HCC)治療後の再発予防にインターフェロン(+リバビリン)投与の報告が増えており、その著効例では優位に再発を抑制できている。今回、我々は、HCC治療後にインターフェロン(以下IFN)+リバビリン投与開始後、短期間にその再発を認めた症例を経験したので報告する。症例1)52才男性。2004年10月にS8径13mmの低エコーのSOLを認め、精査加療目的入院となる。angio-CT施行、大量飲酒家でありA-P shuntと考えられる結節を他部位にも認めたため、炭酸ガスエコーにて確認できたS8より生検施行、高分化型HCCと診断し同部位に対しRFA(ラジオ波焼灼療法)を施行。その後半年間の再発を認めなかったため、peg IFN+リバビリン投与開始(高ウイルス量、1群)とした。翌月の経過観察エコーにて、S7にφ約10 mmの低エコーを認め、CTでも早期相にて濃染像を認めたためPEIT施行した。現在、IFN継続中であるが、再発を認めずに経過観察中である。症例2)64才男性。2005年3月にS4φ約32 mmのSOLを認めたため、精査加療目的入院となる。入院時のCTでは胆嚢床に接するS4にφ約35 mm、肝静脈近くのS7にφ約10 mmのHCCの所見を認めた。本来は外科的に切除すべきHCCと考えられたが、本人の手術拒否のため、胆嚢S4に対しRFAを施行、その後の胆嚢床付近にはPEITを3セッション施行、S7はPEIT施行した。加療前はPIVKA-2 1900mAU/mlと上昇していたが、加療後PIVKA-2は正常化した。外来での経過観察中にS7φ約11 mmの高エコーのSOLを認めたため生検施行したが、脂肪変性のみでありHCCの診断には至らなかった。治療後半年後にangio-CTを施行し、HCCの再発がないことを確認し、peg IFN+リバビリン投与開始(高ウイルス量、1群)した。その2ヶ月後のエコーでS5にφ約10 mmの新たな再発を認めたためPEIT施行。その効果判定CTにてS7の経過観察中の結節は早期相にて濃染像を認めたためRFA施行した。(結語)IFN投与自体とHCCの増悪には因果関係は無いと考えられるが、HCCの再発予防にIFN投与症例は今後も増加してくるものと考えられる。しかし、IFN投与期間のHCCの再発に関する経過観察は、より重要になってくると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, インターフェロン