セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 98:FNHとの鑑別が困難であったHCCの1例 |
演者 | 福永 久美(済生会熊本病院消化器病センター) |
共同演者 | 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院消化器病センター), 宮瀬 秀一(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(同 病理), 廣田 和彦(同 画像診断センター) |
抄録 | 今回、我々はFNHとの鑑別が困難であったHCCの1例を経験したので報告する。【症例】75歳、男性。以前よりB型慢性肝炎の指摘があり、毎年健診を受けていたが異常を指摘されたことはなかった。平成17年の健診で肝腫瘍を指摘され当科外来を紹介受診、8月8日当科入院となった。血液検査では、LDHとγ-GTPの軽度上昇を認めるのみで、腫瘍マーカーは陰性であった。腹部エコーにてS5に30×25mmのやや分葉状の腫瘍を認め、比較的幅の広い辺縁低エコー帯を有し、内部が高エコー、さらにその中心部には低エコーの部分を認めた。ドップラーエコーでは血流は豊富で、一部中心から辺縁へ流出する様に見える拍動性血流を認めた。造影CTでは、単純ではlow density、early phaseでは全体が強くenhanceされ中心には線状のlow density areaが混在しており、その部分はdelayed phaseで淡くenhanceされた。MRIでは、T2で腫瘍全体がhighとなり、脂肪抑制では抑制される部分は認めなかった。リゾビスト造影後では腫瘍辺縁の部分にリゾビストの取り込みが認められ、クッパー細胞の存在が考えられた。Angio-CTで、CTAPで腫瘍全体が明瞭な低吸収域となり、CTAの10秒後に腫瘍全体が濃染、45秒後では腫瘍内部にコロナ様濃染の所見と辺縁にも淡い染まりを認めた。これらの検査所見より、術前診断としてはFNHかHCCか鑑別が困難であり、75歳と若干高齢ではあったが、病変は単発で肝予備能も良好であり、肝部分切除術を施行した。切除標本では、周囲の正常肝の中に被膜をもたない白色充実性のtumorを認め、内部に緑色の結節が認められた。病理組織学的には白色充実部分が高分化型、内部の結節部分が中分化型の肝細胞癌の診断であり、脱分化傾向を伴ったnodule in noduleの状態であった。【結語】リゾビストの取り込みが見られた腫瘍の外側部分は高分化型HCCであり、まだクッパー細胞が存在していたためリゾビストの取り込みが認められたと考えられた。リゾビストMRIは組織分化度の特徴をよく示していたと考えられた。 |
索引用語 | HCC, クッパー細胞 |