セッション情報 一般演題

タイトル 69:

遺伝性球状赤血球症を原因とした胆石症の2例

演者 織田 麻奈美(健康保険南海病院 消化器内科)
共同演者 水上 一弘(健康保険南海病院 消化器内科), 森本 章生(健康保険南海病院 消化器外科), 宮島 一(健康保険南海病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】遺伝性球状赤血球症は赤血球膜の異常により、脾臓で赤血球が破壊され、溶血性貧血を呈する疾患である。多くは乳幼児期までに貧血や黄疸の指摘により診断されるが、しばしば異常を指摘されることなく経過し、胆石症の発症にて本疾患と診断されることがある。今回われわれは遺伝性球状赤血球症を原因とした若年発症の胆石症を2例経験したので報告する。【症例および経過】症例1は13歳、女児。昼食後、突然上腹部痛、嘔吐を呈し、改善ないため翌日当院緊急受診。腹部CTにて総胆管および胆嚢に結石を認めた。 胆嚢に腫大はなく、急性胆管炎と診断した。緊急ERCにて総胆管結石を確認後、2期的に採石術施行し、症状改善した。入院時より、間接優位の高ビリルビン血症を認めており、採石後は数値の改善はあったが、間接優位の高ビリルビン血症は続いていた。症例2は34歳、男性。朝食後、心窩部痛出現し、救急車にて当院へ搬入された。腹部CTにて腫大した胆嚢と胆嚢結石をみとめた。急性胆嚢炎と診断し、保存的に加療を行い改善したが、間接優位の高ビリルビン血症は残存した。いずれの症例においても、溶血性貧血のパターンを呈しており、また、末梢血塗抹標本において小型球状赤血球を認めたことより、遺伝性球状赤血球症と診断。胆石の原因と考えられた。腹腔鏡下胆嚢脾臓摘出術が施行され、以後胆石の再発は認めていない。【結論】腹痛にて緊急受診する患者において、胆石症は比較的頻度の高い疾患であるが、中にはその背景に他の病態がみられることがある。胆石症は繰り返す可能性の高い疾患であり、こうした背景の治療により、効果的な再発予防が見込まれると考えられた。
索引用語 胆石, 遺伝性球状赤血球症