セッション情報 一般演題

タイトル 2:

当院における胃瘻造設患者の入院期間、合併症についての検討

演者 大原 寛之(大村市立病院)
共同演者 松本 章子(大村市立病院), 森川 俊一(大村市立病院), 中越 享(大村市立病院), 大仁田 賢(長崎大学医学部歯学部附属病院第2内科), 大曲 勝久(長崎大学医学部歯学部附属病院第2内科), 水田 陽平(長崎大学医学部歯学部附属病院第2内科), 河野 茂(長崎大学医学部歯学部附属病院第2内科), 竹島 史直(長崎大学医学部歯学部附属病院総合診療部), 大場 一生(長崎大学医学部歯学部附属病院光学医療診療部)
抄録 当院においては近年、経口摂取不能患者に対する内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の造設依頼が増加している傾向にある。一方2004年1月より稼動した大村市立病院栄養サポートチーム(NST)により、各患者について栄養アセスメントを行なうようになった。そこでいかなる因子がPEG導入に影響を与えるかを検討したので報告する。【対象と方法】2005年1月から2005年11月までの11ヶ月間に当院において胃瘻造設、経胃瘻的経腸栄養法を導入した24名のうち、期間内に退院にまで至った15名(男性7名、女性8名)についてretrospectiveに入院日数、検査成績などの統計学的処理を行ない検討した。【結果】対象症例全体では平均年齢79.3歳(中央値 79.0歳)、平均BMIは23.3 (中央値 17.1)であった。主病名は脳梗塞・パーキンソン症候群などの神経疾患が13名(86.7%)と大半を占めた。平均入院日数は74.3±44日(中央値 88.0日)、胃瘻を造設してから退院するまでの日数は47.1±35日(中央値 37.0日)、胃瘻造設してから必要栄養量を経腸栄養にて補給可能となる、すなわち経胃瘻的経管栄養が安定するまでの日数は16.5±21(中央値 9日)日であった。対象全体の平均血清アルブミン値は2.9±0g/dl で、小野寺らのPrognostic Nutrition Index:PNI簡易法では、37.1±8であった。NST介入基準である3.0g/dlを超えている群では、平均在院日数は52.3±46日、3.0g/dl未満の群では、93.6±34日と、Alb が良い群が入院期間も短かった。一方で合併症は6例(40%)で発生したが、胃瘻造設前の平均Alb値は3.1g/dlであり、合併症のない群に比して著しく低栄養ということでもなかった。他の検討については当日報告する。【考察】そもそもが高齢者に対して、さらに栄養状態不良の患者への胃瘻造設依頼が多く、一度合併症を起こすと改善にも時間を要する。従って合併症の発症を予防し、入院期間を短縮するために、経鼻的経管栄養法などの併用が有効であることが示唆された。ただ入院期間延長については社会的要因も大きく、病診連携をスムーズにするためにも地域での栄養療法啓発が必要であり、地域連携パスなども活用することが重要と考えられた。
索引用語 胃瘻, NST