セッション情報 一般演題

タイトル 163:

中心体型抗核抗体陽性かつ抗ミトコンドリア抗体陰性の原発性胆汁性肝硬変の一例

演者 柳田 公彦(済生会唐津病院 内科)
共同演者 八田 美幸(済生会唐津病院 内科), 萬年 孝太郎(済生会唐津病院 内科), 遠藤 広貴(済生会唐津病院 内科), 小島 昌貴(済生会唐津病院 内科), 千布 裕(済生会唐津病院 内科), 皆川 亮介(済生会唐津病院 外科), 園田 孝志(済生会唐津病院 外科)
抄録 【はじめに】原発性胆汁性肝硬変(以下PBC)は抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性を特徴とする自己免疫性肝疾患であるが、時にAMA陰性であるにも関わらず病態はPBCに矛盾しない例が見られる。今回我々は中心体型抗核抗体(ANA)陽性かつAMA陰性であり、組織学的及び臨床経過上PBCとして矛盾しない例を経験した。【症例】 1947年生まれの女性。家族歴に特記事項なし。飲酒歴なし。喫煙は15本/日。既往歴に高脂血症及び胃潰瘍あり。2001年(54才)の近医における血液検査で肝障害を認めるも脂肪肝によるものと説明されていた。2002年(55才)の検査では肝障害を認めなかったが、2005年6月(57才)より再び肝障害を認め、2006年1月(58才)増悪したため当院紹介された。AST 96 IU/L, ALT 127 IU/L, LDH 270 IU/L, ALP 823 IU/L, γ-GTP 220 IU/L, TP 8.4 g/dl (Alb 50.9%, γ-glob 30.0%), IgG 2738 mg/dl, IgM 314 mg/dl, HBs Ag(-), HCV Ab(-), AMA (-), ANA x40 (Speckled x40, Centrosome x160), ASMA >x640,肝生検にて門脈域の軽度の線維化、リンパ球、好酸球、形質細胞浸潤に伴う胆管破壊像、胆管細胞の変性及び肉芽腫を認めた。小葉内肝細胞の壊死炎症反応に乏しく、肝細胞への脂肪変性は軽度であった。ウルソ600mg/日内服開始後1ヶ月でAST 40 IU/L, ALT 46 IU/L, ALP 368 IU/Lと肝機能の著明な改善が得られた。【考察】自己抗体のパターンは自己免疫性肝炎を思わせるが、上記の所見はPBCスコア32点でPBC確診例、AIHスコア7点でAIH否定的となる。またウルソ投与後の経過もPBCとして矛盾しないと考えられた。中心体型の抗核抗体は出現頻度が希であり不明な点が多い。若干の文献的考察並びに当院の他のPBC症例との病態の比較を加え報告する。
索引用語 中心体型抗核抗体, 原発性胆汁性肝硬変