セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 59:外傷既往が不明確で、診断に苦慮した鈍的腹部外傷によるイレウスの2手術例 |
演者 | 清水 輝久(佐世保中央病院 外科) |
共同演者 | 重政 有(佐世保中央病院 外科), 蒲原 涼太郎(佐世保中央病院 外科), 梶原 啓司(佐世保中央病院 外科), 碇 秀樹(佐世保中央病院 外科), 菅村 洋治(佐世保中央病院 外科), 國崎 忠臣(佐世保中央病院 外科) |
抄録 | 症例1は81歳男性。主訴は腹痛、嘔吐。既往歴:高血圧症、完全右脚ブロック。2005年5月25日多量のビワを食べた後から、突然腹痛と嘔吐が出現。近医受診し、入院加療を受けるも改善せず。翌日イレウスの診断で当科紹介入院。貧血なく、白血球9500、CRP0.3で、生化学検査、腫瘍マーカーは異常認めず。イレウス管留置し、絶飲食、輸液加療施行。Primary ileusとして、大腸内視鏡検査、イレウス管造影を行うも異常を認めず。イレウス状態が2週間改善されず、6月10日緊急手術施行。全身麻酔下に腹腔鏡で観察すると、トライツ靭帯より2mのところで絞扼状態を認め、他に腸間膜に多数の索状物が存在したので、開腹手術に切り替え、索状物を順次切離した。腸管の壊死は認めなかったので、腸切除は行わず。術後、友人から50歳時に大きな交通事故に遭い、膝蓋骨骨折で入院加療歴のあることが判明し、この時の腹部打撲が誘因と考えられた。術後経過良好で退院。症例2は62歳男性。主訴は食欲不振、嘔吐。既往歴:25歳時虫垂炎手術、37歳頃から胃潰瘍。2002年10月初めより食欲不振が出現し、嘔吐もでてきたため、近医入院。高度脱水と空腸狭窄の診断で、11月8日当科紹介入院。胃管留置で嘔気・嘔吐なかったが、高度脱水による検査値異常があり、輸液負荷にて補正する。入院時の白血球14000、CRP1.6で、小腸造影ではトライツ靭帯の近くで、外からの圧排による狭窄が高度であった。保存的加療を続けるも、小腸狭窄は解除されず、11月28日手術施行。トライツ靭帯の固定不良があり、2ヶ所で癒着が形成されていた。癒着剥離のみで小腸狭窄は改善し、腸切除は行わず。術後、外傷の病歴を問い直すと、60歳時に自転車に乗って転倒し、腹部打撲で3日間動けなかった既往があった。術後経過良好で退院した。まとめ:検査所見で原因不明のPrimary ileusでは、外傷の既往を詳細に聞くことが重要である。 |
索引用語 | Primry ileus, 鈍的腹部外傷 |