セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告4

タイトル 消P-447:

GVHD腸炎の3例

演者 藤原 達雄(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 片倉 響子(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 鈴木 良磨(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 馬場 真希子(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 菊田 敦(福島県立医大・小児科), 佐野 秀樹(福島県立医大・小児科), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【緒言】消化管GVHD(移植片対宿主病)は移植後の患者の予後を左右する重大な因子の一つである。早期の診断、治療が求められる一方、鑑別が困難であることが多い。今回診断、治療に難渋したGVHD腸炎を3例経験したので報告する。【症例1】23歳、男性 [現病歴]平成19年Ewing肉腫と診断された。平成22年2月HLA半合致PBSCT(末梢血幹細胞移植)、同年10月ドナーリンパ球輸注を施行された。平成23年1月血便が出現し当科紹介となった。[経過]下部消化管内視鏡検査(CS)にて全大腸に潰瘍、浮腫を認めた。生検でApoptosisを認めGVHD腸炎と診断した。ステロイドパルス施行するも1月17日腸管穿孔をきたした。【症例2】13歳、男性[現病歴]平成13年急性リンパ性白血病と診断された。平成21年12月HLA半合致PBSCT施行された。平成22年4月下痢出現し加療目的に当院小児科入院となった。同年5月心窩部痛、黒色便を認め当科紹介となった。[経過]上部消化管内視鏡検査(EGD)施行されるもGVHDの診断には至らなかった。11月血便を認めCSを施行した。回腸末端に広範な潰瘍、浮腫、全大腸に浮腫、横行結腸に潰瘍を認めたが、生検でGVHDを示唆する所見は認めなかった。平成23年1月CSし、生検でApoptosisを認めGVHD腸炎と診断した。ステロイドパルス施行するも1月15日消化管穿孔をきたした。最終的にはEBV関連移植後リンパ球増殖症の合併を認めた。【症例3】44歳、女性[現病歴]平成22年7月急性骨髄性白血病と診断された。同年9月、HLA合致PBSCT施行された。平成23年1月より嘔吐・下痢が出現し同年2月当科紹介となった。[経過]EGDにて、胃・十二指腸に浮腫を認めた。CSにて回腸末端、全大腸に浮腫を認め生検でApoptosisを認めGVHD腸炎と診断された。PSLの増量で症状は改善した。【結語】多彩な内視鏡所見を呈し、診断までに複数回生検を必要とした。またウィルス感染の合併やHLA半合致PBSCTにより治療に難渋することが推測された。今後は診断と治療の向上のため、症例を蓄積しさらなる検討が必要と考えられる。
索引用語 GVHD, 腸炎