セッション情報 一般演題

タイトル 175:

著明な肝機能障害と黄疸を伴った早期梅毒性肝炎の1例

演者 白木 誠(佐賀県立病院 好生館 内科)
共同演者 岩根 紳治(佐賀県立病院 好生館 内科), 高橋 宏和(佐賀県立病院 好生館 内科), 河口 康典(佐賀県立病院 好生館 内科), 重松 宏尚(佐賀県立病院 好生館 内科), 川添 聖治(佐賀県立病院 好生館 内科), 山崎 文明(佐賀県立病院 好生館 病理)
抄録 【はじめに】早期梅毒において時に認められる肝機能障害は梅毒性肝炎として知られるが、黄疸およびトランスアミナーゼの著明な上昇を来たすことは稀である。今回我々は著明な肝機能障害と黄疸を伴った早期梅毒性肝炎の1例を経験したので報告する。【症例】22歳男性。平成17年10月下旬四肢にまで拡大する皮疹を認め近医受診。採血にて著明な肝機能障害を指摘され当院紹介受診。【入院時現症】眼球結膜に黄染を認めた。肝は触知せず。体幹部・四肢に紅斑を認め、両側鼠径リンパ節を触知した。【入院時検査所見】AST 1018 IU/l、ALT 2094 IU/l、ALP 775 IU/l、LDH 461 IU/l、γ-GTP 322 IU/l、T-Bil 9.6 mg/dl。肝炎ウイルスマーカー陰性。抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体陰性。梅毒血清反応にてガラス板法 64倍、TPHA法10240倍と強陽性を示した。【病理組織所見】門脈域を中心として炎症細胞浸潤を認めた。肝実質には巣状壊死を認め急性肝炎の組織所見であった。また、胆汁の鬱滞も認めた。【入院後経過】体幹・四肢の特徴的な皮疹、および血清梅毒反応強陽性から早期梅毒と診断し、アモキシシリンによる駆梅療法を開始した。以後、血清梅毒反応の低下と供に肝機能障害および黄疸の改善を認めたため、肝機能障害は早期梅毒に伴うものと考えられた。血清梅毒反応は治療開始後12週でガラス板法4倍、TPHA法 2560倍と低下している。【考察】著明な肝機能障害と黄疸を伴う早期梅毒性肝炎の1例を経験した。梅毒性肝炎は診断に苦慮し、治療の開始が遅れるために重症化することがある。原因不明の肝機能障害を認めた時は鑑別診断として早期梅毒性肝炎も考慮すべきである。
索引用語 梅毒, 肝炎