セッション情報 |
シンポジウム2
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タイトル |
S2-007:自己免疫性膵炎の膵外炎症性病変と治療後の長期経過に関する検討
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演者 |
沖本 忠義(大分大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 |
佐藤 竜吾(大分大学 医学部 消化器内科), 村上 和成(大分大学 医学部 消化器内科), 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院 消化器科), 兒玉 雅明(大分大学 医学部 消化器内科), 藤岡 利生(大分大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年、自己免疫性膵炎 (AIP) の疾患概念が確立し、報告症例も急増しているが、長期的予後についてはまだ不明な点が多い。また本症と膵外病変との関連も注目されている。今回我々は、最長で8年以上経過観察中のAIP12例における膵外炎症性病変頻度と、プレドニゾロン (PSL) の維持量と再発を中心とした長期的経過を検討したので報告する。【方法】大分大学医学部附属病院と大分県厚生連鶴見病院にて、1997年7月から2005年4月までにAIPと診断した12例を対象とした (男性: 8例、女性: 4例、診断時年齢: 53~78歳) 。膵外病変については、血清検査と画像検査などでスクリーングを行った。また全例PSLの内服治療を行い、PSL維持量と再発症例について検討した。【成績】初発時の膵外病変としては、硬化性胆管炎様病変が4例、シェーグレン症候群が1例、上腸間膜動静脈周囲の炎症が1例認められた。硬化性胆管炎様病変はいずれも膵頭部腫大に伴い膵内胆管が狭窄した症例に認められ、PSL投与により改善したが、AIP寛解時に初めて出現した症例も経験した。また再発は2例にみられ、1例はPSL中止後4ヶ月目に、もう1例はPSL10mg/日内服中に再発をきたし、両者ともに再発時の膵形態は初発時と異なっていた。前者は現在PSL5mgの隔日投与で再発なく経過しているが、後者はやはりPSL 10mg/日の漸減時に再発したため、免疫抑制剤を投与しPSLの減量に成功した。他の10例はPSL2.5~5mg/日の維持量で再発はみられていない。【結論】AIPに合併した硬化性胆管炎様病変の大部分は続発性硬化性胆管炎の範疇と思われた。AIPに対するPSLの維持量は2.5~5mg/日が至適と考えられたが、PSLの漸減が困難な症例も経験された。 |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, 長期経過 |