共同演者 |
秦 順子(大分医療センター 消化器科), 荒川 光江(大分医療センター 消化器科), 長門 仁(大分医療センター 消化器科), 福地 聡士(大分医療センター 消化器科), 室 豊吉(大分医療センター 消化器科), 立川 裕史(大分赤十字病院リウマチ科), 秦 一敏(秦医院), 清家 正隆(大分大学医学部消化器内科) |
抄録 |
(症例)72歳、女性。平成16年10月24日頃から黄疸が出現、近医を受診し急性肝炎と診断され、11月9日に当科に入院した。入院時の採血でT-Bil 12.6 mg/dl, GOT 67 IU/L, GPT 92 IU/L, ALP 630 IU/L, PT 97.2%, 抗核抗体<20倍, 抗ミトコンドリア抗体<20倍, IgG 1120 mg/dl, γgl 1.2 g/dl, ウィルスマーカーは陰性であった。全身に薬疹様の紅斑性皮疹が広範囲に出現しており、3ヶ月前から塩酸トラゾドン、アルプラゾラム、スルピリドなどの服薬歴もあり、薬剤性肝障害を最も疑いSNMCの投与により治療。12月6日にはT-Bil 1.6 mg/dl, GOT 21 IU/L, GPT 17 IU/Lまで改善し退院した。退院後は近医でfollowされ、肝炎再燃のため加療されていた。平成17年6月25日の血液検査でT-Bil 18.5mg/dl, GOT 1059 IU/L, GPT 770 IU/Lまで増悪したため当科へ紹介され再入院した。入院時の採血でT-Bil 26.8 mg/dl, GOT 2718 IU/L, GPT 1487 IU/L, ALP 868 IU/L, PT 37.2%, 抗核抗体80倍, 抗ミトコンドリア抗体20倍, IgG 1644 mg/dl,γgl 1.7 g/dl。抗核抗体が陽性化しており重症型自己免疫性肝炎と考えステロイドパルス療法を開始した。また、有痛性の両手掌紅斑、関節痛、胸膜炎、抗DNA抗体陽性、血清補体価低値もありSLEも合併していた。その後、肝炎は徐々に改善し、ステロイドを漸減。肝生検でも自己免疫性肝炎の急性像悪像に一致する所見を認め、AIHスコアリングも19点で診断が確定した。現在プレドニゾロン7.5 mg/日にて治療しているが肝炎の再燃は認めていない。今回、ステロイドパルス療法が奏効した重症型自己免疫性肝炎の1例を経験したので報告した。高齢発症で、SLEを合併しておりさらに薬剤性肝障害から移行した可能性があり興味深い症例と考えられた。 |