セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-003:

早期胃癌の適応拡大病変および適応外病変に対するESDの治療成績

演者 西村 宏達(福岡大学 医学部 第三内科)
共同演者 前田 和弘(福岡大学 医学部 第三内科), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 第三内科)
抄録 [背景・目的]内視鏡的粘膜切開剥離法(endoscopic submucosal dissection; ESD)は一括切除により的確な病理組織学的評価が可能であることより、早期胃癌に対するESDの適応は拡大されつつある。当科では2003年12月よりESDを導入し、良好な成績を収めている。今回、当科における早期胃癌に対するESDの治療成績を適応拡大群(1. Ul(-)の分化型粘膜内癌で2cm以上、2. Ul(+)の分化型粘膜内癌で3cm以下、3. 分化型sm1癌で3cm以下、4. Ul(-)の未分化型粘膜内癌で2cm以下)、および5. 完全適応外群別に検討した。[対象・方法]2003年12月から2006年2月までにESDを施行した早期胃癌72症例のうち、ガイドライン適応病変を除く43症例43病変(拡大群:34例(1. 24例、2. 5例、3 .4例、4. 2例)、5. 適応外群:8例))を対象とした。男女比22:11、平均年齢69.3歳(47-89)、平均観察期間325.7日(38-838)であった。1. -5. 別に一括切除率、完全切除率、偶発症、切除時間、局所再発と追加治療について検討した。 [結果] 平均腫瘍径は25.2mm(5-60)であった。一括切除率はそれぞれ95.8%、100%、100%、50%、87.5%で、全体では 93.0%であった。一括切除しえた40病変中、断端・脈管侵襲陰性の完全切除率は92.5%であった。偶発症は穿孔:7.0%、輸血や緊急手術を要した出血:4.7%であった。平均切除時間は167.8分で、腫瘍径の大きいもの、潰瘍合併例、適応外群では切除時間が長かった。再発は2例に認められ、1例は追加手術、1例はAPC焼灼を行った。[結論] 早期胃癌に対するESD治療は適応拡大病変および適応外病変に対しても高い治癒率が得られた。今後、さらなる経過観察を行い、ESD適応拡大の可能性を検討する必要があると考えられる。
索引用語 ESD, 早期胃癌