セッション情報 | ワークショップ1 |
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タイトル | W-004:消化管出血で発見された転移性胃悪性神経鞘腫の一例 |
演者 | 遠崎 愛(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 屋 万栄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 嵜山 敏男(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 鮫島 朝之(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 田口 周平(鹿児島大学大学院 腫瘍病態学(発癌病理学)) |
抄録 | 症例は72歳、男性。高校生の時より体表に神経線維腫が多発し、von Recklinghausen病と診断されていた。平成14年10月左下腿の腫瘤が増大したため当院皮膚科で切除術を受け、悪性神経鞘腫と診断された。以後同科で経過観察していたが、平成17年5月より食欲不振が出現し、2ヶ月で約20kg体重が減少した。7月中旬から下血があり、高度の貧血(Hb 6.5)を認めたため7月22日当科に紹介された。緊急内視鏡検査で胃穹窿部大弯側に中心に潰瘍を有する径約2cm大の粘膜下腫瘍が存在し、潰瘍底に露出血管を認めた。内視鏡的止血術を施行後、当科に入院した。7月26日に採取した生検組織では紡錘形の腫瘍細胞の増生、及び免疫染色でS-100蛋白が陽性であることより悪性神経鞘腫と診断された。入院時の胸部X線で両肺野に多発性の腫瘤陰影を認め、さらにCT検査で大脳、頚部、縦隔、両肺、肝、両腎、両副腎などにも腫瘤性病変の存在が確認された。全身化学療法も検討したが、全身状態も悪く、同意が得られなかった。肺門部の腫瘤による気道狭窄のため肺炎を合併し、急速に病状が悪化。8月19日死亡した。病理解剖の所見から、生前に画像検査で認められた全身の腫瘤性病変はいずれも悪性神経鞘腫の転移巣であったことが判明した。 悪性神経鞘腫は治療抵抗性で予後不良の疾患であり、von Recklinghausen病の2~5%に合併すると報告されている。特に消化管出血で発見されることは極めて稀であり、臨床的に示唆に富む症例であると考えられ、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 悪性神経鞘腫, 消化管出血 |