セッション情報 一般演題

タイトル 134:

術前診断が困難であった副脾に発生した脾過誤腫の1例

演者 八板 弘樹(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 瀬戸山 博子(済生会熊本病院 消化器病センター), 庄野 孝(済生会熊本病院 消化器病センター), 尾崎 徹(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 工藤 康一(済生会熊本病院 消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院 消化器病センター), 宮瀬 秀一(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 阿部 道雄(同病院 外科), 志垣 信行(済生会熊本病院 消化器病センター), 廣田 和彦(同病院 画像診断センター), 神尾 多喜浩(同病院 病理)
抄録 症例は69歳女性。生来健康で、特に症状はなかった。平成12年近医にて健診目的で腹部USを施行されたところ、脾門部に5mm大と脾臓内に10mm大の腫瘤性病変を指摘され、副脾及び脾血管腫、脾過誤腫疑いとして以後外来で1年に1回腹部US、CTにて経過観察されていた。平成17年11月の腹部CTで副脾と思われた脾門部の腫瘍は増大傾向にあり、当科外来受診。同年12月精査加療目的で入院となる。腫瘍は腹部USで脾門部に25mm大の境界明瞭な類円形で内部ほぼ均一な低エコー腫瘤として描出され、ドップラーでは明らかな血流信号は認めなかった。腹部CTでは単純CTで脾臓とほぼ同じdensityで類円形の腫瘤として認められ、晩期にかけて造影効果のある腫瘍であった。腹部MRIでは内部の信号はT2WIでlow intensityを主体として、淡い高信号も混在しており、T1WIでは脾臓とほぼiso intensityであった。Dynamic studyでは早期相では脾臓より弱い染まりで、徐々に濃染効果を認めた。腫瘍は脾臓や膵臓と連続性はなく、術前診断は軟部組織や副脾から発生した腫瘍やリンパ腫が鑑別にあがったが、増大傾向があり、悪性を否定できなかったため手術となった。腫瘍は膵臓や脾臓と連続性はなく、粗な結合組織で周囲と癒着しており、剥離摘出した。病理組織学的所見では、腫瘤辺縁に一部正常な脾の構造が認められ、副脾に発生した腫瘍であった。病変部は硝子様間質が豊富で、fibrous typeの脾過誤腫と診断した。術前診断が困難であり、検索範囲内で副脾に発生した脾過誤腫の報告例はなく貴重な症例であると思われるため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 副脾, 脾過誤腫