セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告4

タイトル 消P-449:

線状縦走潰瘍瘢痕を契機に診断されたcollagenous colitisの2例

演者 平野 達也(翠明会山王病院・内科)
共同演者 有本 央(翠明会山王病院・内科), 千代田 亘弘(翠明会山王病院・内科), 坂上 信行(翠明会山王病院・内科), 荻原 壮一郎(翠明会山王病院・内科), 谷嶋 隆之(翠明会山王病院・内科), 三橋 修(翠明会山王病院・内科), 小川 健(翠明会山王病院・内科), 友野 寛樹(翠明会山王病院・内科), 夏木 豊(翠明会山王病院・内科), 小林 茂雄(翠明会山王病院・健康管理センター)
抄録 1976年にLindstromにより提唱されたCollagenous colitis(以下CC)は慢性水様性下痢を主訴とし病理学的に上皮下collagen band(以下CB)形成を特徴とする疾患である。大腸内視鏡検査(以下CS)所見は正常ないし変化は軽微であるとされてきたが、近年特徴的内視鏡像についての報告が見られる。今回、特徴的内視鏡像の一つとされる線状縦走潰瘍瘢痕が診断の契機になったCC2例を経験したため報告する。【症例1】67才女性。近医にて胃潰瘍、高血圧、うつ病など治療中。1か月続く下痢があり、血便も見られたため精査依頼。内服薬:ランソプラゾール(以下LPZ)、アムロジピン、オルメサルタン、アスピリン、アトルバスタチン、アルプラゾラム、フルニトラゼパム、パロキセチン、トラゾドン。CS:横行結腸に2条、下行結腸に1条の比較的境界明瞭な隆起を伴った線状縦走潰瘍瘢痕、直腸下部に一部に出血を伴う多発線状縦走びらんを認めた。直腸生検にて上皮直下にCBと炎症細胞浸潤を認めCCと診断。LPZ中止、メサラジン1500mg、ベタメサゾン坐剤1mgによる治療を行い、下痢・血便は改善。5か月後のCSにて瘢痕はほぼ変化ないが直腸びらんは改善、病理検査においてCB退縮を認めた。【症例2】78才女性。大腸がん検診便潜血陽性。内服薬:プラバスタチン、ニフェジピン、イソソルビド、ロキサチジン。CS:下行結腸に線状縦走潰瘍瘢痕あり同部の生検にてCCと診断された。無症状であるため無治療、経過観察中である。【考察】CCの症例蓄積に伴い血管透見不良、血管網増生、顆粒状粘膜、線状縦走潰瘍などの所見が報告され、特にLPZ関連CCにおいては線状縦走潰瘍が関連が深いとされる。今回の2例においても縦走潰瘍瘢痕が診断の契機となった。特に症例2においては下痢、LPZ投与もなく、CS所見が唯一の診断の手掛かりであった。慢性下痢の鑑別疾患としてだけでなく、縦走潰瘍の鑑別疾患としても本疾患は重要と思われた。
索引用語 collagenous colitis, 縦走潰瘍