セッション情報 一般演題

タイトル 5:

健常人に発症したサイトメガロウイルス関連胃病変の1例

演者 山口 加奈子(佐賀大学 医学部 内科)
共同演者 岩切 龍一(佐賀大学 医学部 光学医療診療部診療部), 水口 昌伸(佐賀大学 医学部 放射線科), 藤瀬 剛弘(佐賀大学 医学部 内科), 坂田 資尚(佐賀大学 医学部 内科), 大谷 響(佐賀大学 医学部 内科), 下田 良(佐賀大学 医学部 内科), 綱田 誠司(佐賀大学 医学部 光学医療診療部診療部), 坂田 祐之(佐賀大学 医学部 内科), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 内科)
抄録 症例は54歳男性。2003年10月より仕事によるストレスが続いていた。2003年11月頃より全身倦怠感を自覚するようになった。2004年2月全身倦怠感と食思低下が続くため近医に入院したが、症状の改善がないため2004年3月15日当院受診した。既往歴、家族歴は特記事項なかった。身体所見上は腹部圧痛等なく、肝脾腫も認めなかった。来院時の検査成績では白血球数7500/mm3と正常範囲内で分画・血液像に異常認めなかったが、CRP は1.66mg/dlと軽度上昇を認めた。赤血球数3.78×106 /mm3、Hb 11.8 g/dl、Ht 35.9%と軽度の貧血を認め、ALT 37 IU/l、 LDH 386 IU/l と軽度の肝機能異常、総コレステロール 287 mg/dl、中性脂肪 263 mg/dlと高脂血症を認めた。腹部エコー上は肝にて軽度の深部減衰と肝腎コントラストの上昇を認め、fatty changeの所見のみであった。3月19日上部消化管内視鏡検査にて、胃体上部前に浅く広い陥凹性病変を認めた。陥凹辺縁境界は明瞭であるが、陥凹辺縁には結節状隆起を伴っていた。組織学的検索にて、核内封入体を認め、サイトメガロウイルス感染が疑われた。血清サイトメガロ-CF 254倍、血清サイトメガロIgG-FA 2560倍と上昇を認め、生検結果とあわせてサイトメガロウイルス感染に伴う病変と考えられた。HIVウイルス感染は認めなかった。胃粘膜修復促進薬であるテプレノン内服のみにて自覚症状は軽快し、内視鏡所見は改善傾向を認めた。サイトメガロウイルスは、悪性腫瘍末期、免疫抑制剤投与中、あるいはAIDS患者など易感染性宿主への日和見感染症として認められることがあるが、不顕性感染に終わることが多く、実際に症状を起こすことは稀である。本症例は健常成人に発症したサイトメガロウイルス関連の胃病変であり稀な症例と考えられ、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 サイトメガロウイルス, 胃