セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 176:学校検診を機会に発見されたWilson病の1例 |
演者 | 伊禮 史朗(琉球大学医学部附属病院第一内科) |
共同演者 | 屋比久 貴子(琉球大学医学部附属病院第一内科), 知念 隆之(琉球大学医学部附属病院第一内科), 前城 達次(琉球大学医学部附属病院第一内科), 佐久川 廣(ハートライフ病院), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院光学医療診療部), 仲地 紀哉(那覇市立病院) |
抄録 | Wilson病は常染色体劣性遺伝形式をとり発生率は1/30000で,銅の過剰蓄積を呈する疾患である.肝障害を発症する平均年齢は10~15歳で,早期治療により病態の進行を抑えることができ,早期発見が重要である.我々は学校検診にて発見され,肝硬変に至っていた症例を経験したので報告する.症例は18歳男性.自覚症状は特になく,専門学校入学時の検診にて尿潜血陽性を指摘され,近医を受診.尿潜血(1+),白血球 2400/μL,血小板 3.1/μL, Alb 2.8g/dl,TBil 1.9mg/dl,AST 30 IU/L,ALT 31 IU/L,ALP 554 IU/L PT 44.7%,HPT 43%,ヒアルロン酸 385ng/ml,と肝機能低下認め,肝硬変疑われ精査のため当院を受診した.Cu 28μg/dl,ハプトグロブリン 7mg/dl,セルロプラスミン 8mg/dl,尿中銅 177.4μg/day,と血中セルロプラスミン低値,血清銅低下,尿中銅上昇と肝硬変を認めた.またKayser-Fleischer ring認めWilson病と診断された.肝臓病理所見にて銅の沈着あり門脈域に炎症細胞の浸潤を認め肝硬変の状態であった.臨床的にはChild Pugh Bであった.入院後D-ペニシラミン投与開始したが内服10日目に38℃後半の発熱認め,好酸球の増多あり内服中断となった.年齢や全身状態・病態より肝移植の適応があると判断した.Wilson病は早期治療により進行を抑える事のできる疾患である.若年発症例の発見の遅れにより肝硬変の状態で発見された症例を経験した.現行の学校検診では発見が難しく,検診体制の見直しが必要と考えた. |
索引用語 | Wilson病, 学校検診 |