セッション情報 一般演題

タイトル 94:

B型急性肝炎におけるゲノタイプの分布

演者 前城 達次(琉球大学医学部附属病院第一内科)
共同演者 伊禮 史郎(琉球大学医学部附属病院第一内科), 青山 肇(琉球大学医学部附属病院第一内科), 屋比久 貴子(琉球大学医学部附属病院第一内科), 宮城 聡(琉球大学医学部附属病院第一内科), 平田 哲生(琉球大学医学部附属病院第一内科), 外間 昭(琉球大学医学部附属病院第一内科), 藤田 次郎(琉球大学医学部附属病院第一内科), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院光学医療診療部), 佐久川 廣(ハートライフ病院)
抄録 【はじめに】近年、本邦におけるHBVキャリア数は減少傾向にあり、それとともにB型急性肝炎も減少している。しかし本邦以外の高浸淫地区由来のHBVによる急性肝炎の増加が報告されている。今回、沖縄県におけるB型急性肝炎におけるゲノタイプの検討を行ったので報告する。【対象】男性17例、女性7例の急性肝炎を対象とした。【結果】平均年齢は29.9±10.4歳、T-Bilの最高値の平均が10.2±8.1 g/dl、PT%の最低値の平均が70.2±37.4%であった。これら急性肝炎のうち4例(急性型3例:亜急性型1例)が劇症化し、急性型、亜急性型のそれぞれ1例ずつが死亡した。また保存血清を含めてゲノタイプを測定できた症例が1990年以降13例あった。内訳はゲノタイプAが4例、Bが6例、Cが3例であった。ゲノタイプを測定した1990年代と2000年以降の分布を検討すると、1990年代は7例中4例がゲノタイプBであったが、2000年以降の急性肝炎では6例中3例がゲノタイプAであった。【考察】沖縄県のHBVキャリアにおけるゲノタイプBの割合は60%以上であるため、急性肝炎においてもゲノタイプBの分布が最も多かった。しかしながら、2000年以降はゲノタイプAが半数を占めており、外来のゲノタイプによる急性肝炎が増加していると考えられる。ゲノタイプAのHBVは元来ヨーロッパ、アフリカに多いウイルスであったが、近年日本における急性肝炎の原因ウイルスとして注目されている。他のゲノタイプと違い、成人後の初感染例でも慢性化しやすいことが報告されている。今回の検討でも慢性化した症例が存在し、急性肝炎を診療する場合には慢性化するリスクのあるゲノタイプAの存在も念頭に治療を行うべきだと考えられた。
索引用語 HBV, ゲノタイプ