セッション情報 ワークショップ1

タイトル W-005:

術前診断が困難であった胃神経鞘腫の1例

演者 岡本 麗子(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 八板 弘樹(済生会熊本病院消化器病センター), 瀬戸山 博子(済生会熊本病院消化器病センター), 庄野 孝(済生会熊本病院消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 多森 靖洋(済生会熊本病院 外科センター), 志垣 信行(済生会熊本病院 外科センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理室)
抄録 症例は60歳男性。平成12年の健診で、上部消化管内視鏡検査にて前庭部前壁に20mm大の胃粘膜下腫瘍を指摘された。以後、1年に1回、健診での上部消化管内視鏡検査を受けていたが、大きさ、形態に変化なく経過観察されていた。平成17年11月の検診での上部消化管内視鏡検査にて、軽度増大傾向が疑われ、平成17年12月に当科外来紹介受診。当科での上部消化管内視鏡検査では前庭部前壁に20mm大の bridging fold を伴う比較的なだらかな粘膜下腫瘍を認め、腫瘍表面の粘膜は潰瘍、びらんの形成なく正常粘膜であった。超音波内視鏡検査では第4層と連続する内部均一な低エコーとして描出され、胃GISTと診断した。造影CTで、腫瘍は造影晩期にかけて造影効果のある内部均一な腫瘤として認められ、周囲のリンパ節腫大や肝臓への転移の所見は認められなかった。増大傾向が疑われ、本人の強い希望もあることから、平成18年1月に入院のうえ、核出術を施行した。核出した腫瘍は肉眼的には黄白色の充実性腫瘍であり、腫瘍辺縁にはリンパ球の集簇を認めた。病理組織検査では、弱拡大にて紡錘形の細胞が錯走しながら増殖している所見を認め、強拡大では紡錘形の腫瘍細胞と核の wavy pattern を認めた。免疫染色ではS-100蛋白陽性、CD34、c-kit、α―SMA 陰性で、胃神経鞘腫と最終診断した。胃神経鞘腫は末梢神経鞘を発生母地とし、胃の良性非上皮性腫瘍の5~7%程度を占めるにすぎず、比較的まれな腫瘍である。今回我々は6年の経過が追え、術前診断が困難であった胃神経鞘腫の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃神経鞘腫, 胃粘膜下腫瘍