セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告4

タイトル 消P-450:

生検で診断に難渋し、EMRで診断がついたcollagenous colitisの一例

演者 寺崎 正彦(龍ケ崎済生会病院・消化器内科)
共同演者 佐藤 巳喜夫(龍ケ崎済生会病院・消化器内科), 越智 大介(龍ケ崎済生会病院・消化器内科), 牧野 維斗映(龍ケ崎済生会病院・消化器内科), 海老原 次男(龍ケ崎済生会病院・消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大附属病院・消化器内科)
抄録 【症例】60歳代女性。X年6月より3ヶ月間続く1日7回程度の下痢・体重減少を主訴に同年9月当院受診。下部消化管内視鏡検査所見では全大腸に炎症所見(発赤、浮腫、粗造粘膜)を認めたがびらんや潰瘍性病変は認めなかった。マッピング生検では炎症性腸疾患等の特徴的な変化を認めず、非特異的腸炎と診断された。メサラジンの投与を開始したが、症状の改善なく低蛋白血症の進行も認めたため同年11月精査加療のため当科入院。4月よりランソプラゾール(LP)の処方歴があることからcollagenous colitis (CC)との確定診断は得られていないものの同疾患の可能性を否定できずLPを中止した。LP中止後下痢は改善した。経過観察及び確定診断のための内視鏡的粘膜切除術(EMR)目的に下部消化管内視鏡検査を再施行したところ、大腸粘膜はほぼ正常まで改善しており、EMRで採取した病理組織に粘膜直下の肥厚する好酸性collagen bandを認めCCと診断された。【考察】活動期のCCであっても十分な粘膜下組織の採取が不可能な生検では確定診断がつかない場合があると考えられた。一方、内視鏡所見が改善していてもEMRでCCの病理組織学的診断が可能と推測された。LPを含むプロトンポンプ阻害剤内服時の下痢にはCCが発症する可能性のあることが明らかとなっており、臨床的にCCが疑われる症例については積極的にEMRを用いた病理学的診断を行う必要があると考えた。
索引用語 collagenous colitis, ランソプラゾール