セッション情報 | ワークショップ1 |
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タイトル | W-008:若年男性に発生した特異な胆道奇形を合併する下部胆管癌の一例 |
演者 | 工藤 康一(済生会熊本病院 消化器病センター) |
共同演者 | 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 尾崎 徹(済生会熊本病院 消化器病センター), 紙屋 康之(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 宮瀬 秀一(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院 消化器病センター), 廣田 和彦(済生会熊本病院 画像診断センター), 浦田 譲治(済生会熊本病院 画像診断センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理), 田森 靖洋(済生会熊本病院 外科), 志垣 信行(済生会熊本病院 外科) |
抄録 | 症例は37歳男性。元来健康。平成17年9月に眼球黄染を指摘された。その頃より全身倦怠感、食思不振、掻痒が見られ始めた。近医を受診したところ、採血で著明な胆道系酵素上昇と黄疸を指摘され、当院へ精査加療目的で入院となった。入院時の血液検査では、肝胆道系酵素の上昇とビリルビン上昇(T-Bil 5.1mg/dl)、腫瘍マーカーの上昇(DUPAN2 190 IU/ml)を認めた。アミラーゼ、γグロブリン、IgGは正常範囲内であった。造影CTでは両葉肝内胆管、上部総胆管の拡張を認め、下部胆管壁には早期相で壁肥厚と濃染像を認めた。また膵頭部や十二指腸周囲、肝十二指腸間膜の脂肪織に不整な濃度上昇を認めた。以上より下部総胆管レベルでの閉塞性黄疸を疑い、その原因として下部胆管癌と限局性の膵炎、groove pancreatitis、膵癌などが鑑別として考えられた。鑑別のために超音波内視鏡を施行したところ下部胆管に壁肥厚性変化が疑われた。更なる精査のためERCPを行ったところ、両側肝管が膵実質直上の低位で合流している奇形が見られ、両側肝管から膵内の合流部にかけて著明な狭窄性変化が認められた。MRCPでも同様の所見であった。術前の画像診断で明らかな胆管膵管の合流異常は認めなかった。胆道奇形とそれに合併した下部胆管癌を第一に疑い、平成17年10月13日、膵頭十二指腸切除術が施行された。術中のサンプリングでは#12aリンパ節が陽性で低分化型腺癌が疑われ、胆管周囲の組織は白色調に硬化しており腫瘍浸潤を疑う所見であった。病理では、下部胆管癌(平坦浸潤型、poorly adenocarcinoma)であり、十二指腸や膵実質、神経脈管浸潤があり、剥離面も浸潤陽性であった。今回の症例は若年男性に発生した低分化型の下部胆管癌であるが、診断に苦慮し更に術前に腫瘍進展範囲を正確に診断できなかった。また胆道走行の奇形を伴っていたが、過去に報告されている胆道奇形のvariationとは異なる形態であった。これらを術前の画像検査と対比し若干の文献的考察を交えて報告する。 |
索引用語 | 下部胆管癌, 胆道奇形 |