セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 53:ダブルバルーン小腸内視鏡検査が診断に有用であった腎細胞癌小腸転移の1例 |
演者 | 水谷 孝弘(九州大学大学院 病態制御内科学) |
共同演者 | 本田 邦臣(九州大学病院 光学医療診療部), 樋口 奈緒美(九州大学大学院 病態制御内科学), 金山 兼司(九州大学大学院 病態制御内科学), 隅田 頼信(九州大学大学院 病態制御内科学), 吉永 繁高(九州大学大学院 病態制御内科学), 板場 壮一(九州大学病院 光学医療診療部), 秋穂 裕唯(九州大学大学院 病態制御内科学), 中村 和彦(九州大学大学院 病態制御内科学), 兼城 三由紀(原三信病院 消化器科), 千々岩 芳春(原三信病院 消化器科), 当間 宏樹(原三信病院 外科), 江口 徹(原三信病院 外科), 河野 眞司(原三信病院 病理部), 高柳 涼一(九州大学大学院 病態制御内科学) |
抄録 | 症例は67歳女性。2005年8月頃より全身倦怠感・タール便が出現し10月に近医を受診。精査加療目的にて10月12日に前医へ紹介入院となった。血液検査にてHb3g/dlと著明な貧血を認め、原因精査のために上部・下部消化管内視鏡検査を施行されるも明らかな局在病変を認めなかった。腹部超音波・CT検査では巨大な左腎腫瘍を認め腎細胞癌が疑われた。また経口小腸X線検査にて空腸に腫瘍性病変が疑われたため、ダブルバルーン小腸内視鏡検査(DBE)目的にて10月25日に当科紹介入院となった。経口的アプローチにてDBEを施行したところ、上部空腸に径20mm大で周堤様隆起を伴う潰瘍性病変を認めた。潰瘍底は凹凸不整であったが、潰瘍辺縁は比較的平滑で周堤は正常粘膜に覆われていた。生検結果は壊死組織のみであったが、病歴および内視鏡所見より腎細胞癌小腸転移が第一に考えられた。11月7日に前医泌尿器科・外科にて左腎摘出術および空腸部分切除術を施行した。空腸腫瘍はTreitz靭帯より90cm肛門側に存在し、病変を含め15cmの空腸を切除した。空腸病変の肉眼所見は20×15mm大のBorrmann 2型様腫瘍であった。病理組織学的に左腎腫瘍はrenal cell carcinomaで、空腸腫瘍も左腎腫瘍と同様の組織型であり腎細胞癌小腸転移と診断された。術後経過は良好で11月30日に退院となり、現在外来にてインターフェロン療法中である。一般的に小腸腫瘍の内視鏡診断は困難であり、術前に内視鏡診断された腎細胞癌小腸転移の報告例はきわめて少ない。今回われわれはDBEが診断に有用であった腎細胞癌小腸転移の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 腎細胞癌小腸転移, ダブルバルーン小腸内視鏡 |