セッション情報 一般演題

タイトル 91:

メトトレキサートの減量に伴い急性増悪を来たしたB型慢性肝炎の一例

演者 はい 成寛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科)
共同演者 宮里  賢(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 小澤  栄介(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 上平 幸史(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 長岡 進矢(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 大畑 一幸(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 松本 武浩(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 大黒 学(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 石橋 大海(国立病院機構 長崎医療センター 消化器内科), 伊東 正博(国立病院機構 長崎医療センター 研究検査科)
抄録 症例は66歳の女性。関節リウマチ(以下RA)にて近医に通院中に HBs抗原陽性を指摘された。1995年RAに対しプレドニン(以下PSL)5mg/day内服開始。2000年AST:122 IU/L ALT:196 IU/Lと肝機能異常を認め、以後軽度の肝機能異常が持続していた。2001年RA増悪のため、メトトレキサート(以下MTX)8mg/week内服を開始した。2005年5月RAの症状改善傾向にて、MTX8mg/weekから6mg/weekに減量。さらに6月に4mg/weekに減量した。7/26にAST:739 IU/L、ALT:798 IU/Lと肝機能増悪を認めたため当科紹介となった。入院時は身体所見上明らかな異常は認めなかったが、血液検査所見でT-bil:1.6mg/dl、AST:513 IU/L、ALT:611 IU/L、PT:43.7%と高度な肝機能障害を認めた。またHBs抗原:611.38IU/ml、HBe抗原:0.36(陰性)、HBe抗体:99.4(陽性)、HBV DNA:7.8LGE/mlの結果よりセロコンバージョン後の変異株による急性増悪が疑われた。MTXの漸減によるB型慢性肝炎の急性増悪と診断し、MTX 4mg/weekとPSL 5mg/dayは内服続行として第1日よりラミブジン100mg/dayを開始した。肝機能は順調に改善し、第47日目にはAST:65 IU/L、ALT:55 IU/L、PT:55.7%まで回復。経過良好にて第48日に退院となった。なおMTXに対するDLSTは陰性であった。免疫抑制療法や化学療法剤の投与により免疫の抑制が生じるためにHBVが増殖し、それら薬物投与の中止とともに免疫応答が回復するため、HBV感染肝細胞が攻撃され、急性の肝障害を生じる。特に今回はプレコア・コアプロモーター変異株であったことが重症化の原因の一つと思われた。同様の機序で死亡例を含む重症化の報告例もみられ、注意を喚起すべき示唆に富む症例と考え、報告する。
索引用語 メトトレキサート, ラミブジン