セッション情報 一般演題

タイトル 58:

巨大なメッケル憩室により腸閉塞を来たした一例

演者 淀江 賢太郎(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科)
共同演者 宮城 譲(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科), 岩尾 真孝(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科), 大越 恵一郎(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科), 荒木 譲(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科), 原田 直彦(国立病院機構福岡東医療センター 消化器科), 中村 和彦(九州大学大学院病態制御内科学)
抄録 【はじめに】今回我々は巨大なメッケル憩室により腸閉塞を来たした一例を経験したので報告する。
【症例】11歳、男性。
【主訴】腹痛
【既往歴】気管支喘息
【現病歴】平成18年2月、午前11時頃より腹痛出現したため近医受診。腹部レントゲン写真にてニボーを認めたため、同日精査加療目的で当科紹介となった。
【現症】身長 159cm、体重 39kg、血圧 123/70、脈拍 84/分、体温 37.1℃、SpO2 96%
胸部 心音 異常なし、呼吸音 異常なし
腹部 平坦、軟、圧痛なし、腫瘤を触知しない
【検査成績】(CBC) 白血球 11300/mm3、Hb 13.8g/dl、血小板 24.8x104/mm3(血液生化学) TP 7.6g/dl、T-Bil 0.39mg/dl、AST 23 IU/l、ALT 14 IU/l、γ-GTP 18 IU/lLDH 245U/ml、CK 137 IU/l、Na 141mEq/l、K 3.9mEq/l、Cl 106mEq/l、BUN 15.0mg/dlCr 0.5mg/dl、Glu 117mg/dl、CRP 0.07mg/dl(胸部単純X線) CTR 38%、CPA sharp(腹部単純X線) ニボーを認める(腹部単純CT) 胃~空腸~骨盤内回腸の拡張と内容物貯留を認め腸閉塞の所見。閉塞機転の同定は困難であり、また消化管の捻転、絞扼を示唆する所見も認めない。
【経過】腸閉塞の診断にて来院したが同日夕方には自然に腹痛消失したため絶食にて経過観察とした。その後は症状再燃なく経過、第2病日より食事摂取するも問題なく、また排便も認めた。第4病日、小腸X線検査を施行。回盲部より口側60cmの腸間膜付着対側部に長さ11cm、幅6.5cmの憩室を認め、メッケル憩室と診断した。今回の腸閉塞の原因と考えられたため、第10病日、メッケル憩室切除術を施行。摘出された憩室内に潰瘍は認めず、病理組織学的検査上、壁は小腸粘膜のみから構成され異所性組織の迷入は認められなかった。
以上、巨大なメッケル憩室により腸閉塞を来たした1例を経験したので、若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 メッケル憩室, 腸閉塞