セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 152:NSAIDs投与中に下血をきたし、内視鏡的止血術が奏効した盲腸Dieulafoy潰瘍の一例 |
演者 | 奥田 彩子(熊本赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 一二三 倫郎(熊本赤十字病院 消化器科), 川口 哲(熊本赤十字病院 消化器科), 竹熊 与志(熊本赤十字病院 消化器科), 北田 英貴(熊本赤十字病院 消化器科), 吉永 秀哉(熊本赤十字病院 消化器科), 野中 康一(熊本赤十字病院 消化器科) |
抄録 | 【はじめに】NSAIDs起因性大腸潰瘍は1966年に初めて報告された。非特異的な病理組織学的所見を呈するため診断は潰瘍の存在とNSAIDs使用歴、投与中止による潰瘍の治癒、他疾患の除外によってなされる。潰瘍は比較的浅いものから穿孔をおこすものまで様々である。今回盲腸のDieulafoy潰瘍により下血をきたし、クリッピング術が奏効した一例を経験したので報告する。 【症例】症例は65歳男性。ラクナ梗塞にて平成17年7月より他院にてNSAIDs投与中であった。平成17年11月22日朝より約7~8回の新鮮血下血があり、当院救急外来受診。直腸診にて新鮮血を認めたため、前処置なしで緊急大腸内視鏡検査を施行したが、出血多量のためS状結腸までしか挿入できず、出血源は特定できなかった。NSAIDs内服はこの日より中止とした。11月23日上部消化管内視鏡検査を行ったが出血源を確認できなかった。11月25日に前処置をして大腸内視鏡検査を施行した。回腸末端まで観察したが粘膜は正常であり、盲腸・上行結腸・S状結腸に憩室の多発を認めたが明らかな出血源は特定できなかった。11月26日朝から再度5~6回の新鮮血下血あり、緊急大腸内視鏡検査を施行した。大腸内は出血多量であったが、明らかに出血している憩室は認めなかった。盲腸に凝血が付着し露出血管を伴ったDieulafoy潰瘍を認め、今回の出血源と思われた。クリッピングにて止血し、以後再出血は認めず、12月7日の大腸内視鏡検査にて潰瘍は改善していた。 【結語】下部消化管出血においても緊急内視鏡は有用であるが、Dieulafoy潰瘍等の微小病変からの出血も念頭におき、より慎重に検査すべきである。NSAIDsが原因の大腸潰瘍の報告は散見されるが、内視鏡的止血術を必要とした例は少なく貴重な症例と考え報告する。 |
索引用語 | NSAIDs, 大腸潰瘍 |