セッション情報 一般演題

タイトル 52:

子宮に接する腫瘤として発見された空腸GISTの一例

演者 冨岡 禎隆(福岡大学)
共同演者 青柳 邦彦(福岡大学), 今村 慎吾(福岡大学), 江口 浩一(福岡大学), 船越 禎広(福岡大学), 酒井 真志(福岡大学), 山本 智文(福岡大学), 森田 勇(福岡大学), 西村 宏達(福岡大学), 林 由浩(福岡大学), 前田 和弘(福岡大学), 志賀 洋(福岡大学), 向坂 彰太郎(福岡大学), 二村 聡(福岡大学 医学部 病理学)
抄録 症例は29歳、女性。2005年2月頃より臍部に腫瘤を自覚するも放置。8月下旬、黒色便、全身倦怠感出現。腹部エコーにて子宮に接する腫瘤を指摘され、精査加療目的にて8月27日当科紹介入院となった。腹部CT、腹部MRI上、子宮に接する径6cm大の腫瘤を認め、また肝転移も疑われた。骨盤内腫瘤は子宮、卵巣との境界が明瞭であり、女性器の腫瘍よりむしろ大腸、回腸、腸間膜由来の腫瘍が疑われた。そのため当初、経肛門的ダブルバルーン式小腸内視鏡(以下DBE)施行した。しかし、大腸、回腸には局在病変は認めなかった。次に経口的にDBE施行したところ、トライツ靱帯より120cm肛門側の空腸に径6cm大の隆起性病変を認め、表面に浅い潰瘍を伴っていた。生検では確定診断できなかったが、出血源となっていること、そして転移と考えられる多発性肝腫瘍を認めることより、GISTを含めた悪性腫瘍の可能性が高いと考え外科的切除を行った。開腹所見では腫瘍はトライツ靱帯より100cm肛門側の空腸に存在し、S状結腸の漿膜側へ強く浸潤、癒着していた。そのため空腸腫瘍が骨盤内に固着していたと考えられた。病理診断はGIST (c-kit 陽性,Desmin 陰性,α-SMA 陰性,S100 陰性)であった。肝転移に対して化学療法施行後、部分肝切除術を行い、病理診断でも小腸GISTの組織型と同じであると確認された。近年、本邦でも小腸GISTの報告例が散見されるが、DBEにより診断された症例はまだ少ない。小腸GISTは本来可動性のある腫瘍であるが、増大すると他臓器へ浸潤するため、本例のように原発臓器の局在判断が困難となることもある。以上、小腸GISTを診断する上でDBEによる局在診断、内視鏡的観察が有用であると考えられた。
索引用語 ダブルバルーン式小腸内視鏡, GIST