セッション情報 パネルディスカッション4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器がん検診学会合同)

膵癌早期発見に向けた取組み

タイトル 内PD4-6:

慢性膵炎とIPMNにおける経過観察中発生膵癌の検討

演者 小山内 学(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】膵癌高危険群である慢性膵炎(CP)と膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の経過観察中に発生した膵癌例について検討する。【対象と方法】2011年3月までに入院加療もしくは内視鏡検査歴のあるCP613例とIPMN601例を対象とした。検討項目は、1)膵癌発生頻度、2)膵癌例の臨床的特徴、3)治療内容と予後、4)膵癌発見前画像所見の再検討。【結果】1)膵癌発生は、CP9例(1.5%)、IPMN11例(1.8%)であった。2)CPでは男女比7:2、年齢51~80歳、平均66.9、発生部位はPh3、Pbt6。IPMNでは5:6、56~76、66.5、Ph6、Pbt5。IPMNは全例分枝型で、膵癌が離れて発生したのが8例、隣接発生が3例であった。膵癌発見までの期間は、CPでは平均33ヵ月(8.4~71.8)、IPMNでは34ヵ月(4.7~92.6)であった。膵癌の発見契機は、CPでは有症状2例(22%)、診断に至った画像検査はUS2、CT7であった。IPMNでは有症状5(46%)、US2、CT5、MRCP2、GIF1、EUS1であった。3)CPでは切除5、非切除4であり、平均腫瘍径29mm、TS1は2(22.2%)、fStageはI 2、III 2、IVa 1、IVb 4であった。 IPMNは切除7、非切除4であり、平均腫瘍径29mm、TS1は3(27.3%)、fStageI 1、III 5、IVa 2、IVb 3であった。膵癌診断からの50%生存期間はCPで14.2ヵ月(原病死6、無再発生存2、再発生存1)、IPMNは33.5ヵ月(原病死6、無再発生存4、再発生存1)であった。4)膵癌発見前の画像検査時期は、CPで半年以内5例、1年以内2、1年以上1、詳細不明1、IPMNでは半年以内6、1年以上5であった。画像所見の見直しにて膵癌の存在を疑い得たのは半年以内に検査をしていたCP5例中4例(CT:小低吸収域2、限局性膵腫大1、MRIDWI 1)、IPMN6例中4例(CT:小低吸収域3、MRIDWI 1)であった。1年以上前に検査をしていた例では膵癌の存在を疑う所見はみられなかった。【結論】慢性膵炎とIPMNの経過観察中の膵癌の発生率は1.5%、1.8%であり、TS1症例は各々22%、27%であった。また、画像所見の見直しからCP、IPMNとも、膵癌早期発見のためには少なくとも半年間隔の経過観察が必要である。
索引用語 膵癌, 早期診断