セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-症例報告4

タイトル 消P-453:

直腸膣瘻を合併した潰瘍性大腸炎の4例

演者 高橋 聡(社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター)
共同演者 金澤 周(社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター), 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 高添 正和(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎(UC)は粘膜及び粘膜下層を炎症の主座とするため,腸管の全層性炎症を伴うCrohn病とは異なり直腸膣瘻の合併はまれである.我々は直腸膣瘻を合併したUCを4例経験したので報告する.【症例】2003年1月から2010年10月の間に肛門疾患に対し当科にて手術を施行したUC 78例中,直腸膣瘻を合併した4症例.全例が全結腸炎型,再燃緩解型の活動期症例で重症 2例,中等症1例,軽症1例であった.2例は回腸嚢直腸吻合(IRA)術後の症例で残存直腸に活動性炎症を認めた.ステロイドは重症2例に強力静注療法の形で使用された.UC発症から瘻孔発症まで最短で10.3年,最長21.5年,平均16.2年であった.全例瘻孔は単発で,2例では瘻孔近傍に炎症性瘢痕による直腸狭窄を認めた.症例1:42歳女性.回腸嚢肛門管吻合(IACA)術中に膣瘻を指摘.瘻孔切除,層々縫合を施行,人工肛門閉鎖後も再発はない.症例2:24歳女性.IRA術後10年目に瘻孔を形成.局所手術を行うも再発し,4度目の瘻孔切除,層々縫合にて治癒した.症例3:30歳女性.IRA術後8年目に壊疽性膿皮症,直腸膣瘻を発症した.GCAPで壊疽性膿皮症は軽快したが,会陰痛の軽減が得られず回腸人工肛門を造設した.瘻孔切除,層々縫合を2度行うも再発した.症例4:43歳女性.内科治療無効の重症例.結腸全摘,回腸人工肛門造設を施行後に瘻孔切除,層々閉鎖を行った.瘻孔閉鎖を確認し,同部を切除範囲に含め回腸嚢肛門吻合(IAA)を施行したが再発した.【まとめ】当科で経験した直腸膣瘻合併のUCは全例全結腸炎型,10年以上の長期にわたる再燃緩解型,活動期症例で,重症,中等症例が多かった.局所手術単独,人工肛門造設下の局所手術,原発孔を含む形でのIAAと様々な術式が選択されていたが,1症例を除き再発を繰り返し治療に難渋した.【結語】UCを背景とする直腸膣瘻は治療に難渋することが多く,手術適応,手術時期,手術術式を慎重に検討し治療方針を決定すべきである.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 直腸膣瘻