セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-007:

早期胃癌における拡大適応病変と完全適応外病変に対するESDの治療成績について

演者 上原 正義(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 吉田 健一(済生会熊本病院消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 藤本 貴久(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院病理)
抄録 当院では早期胃癌に対して2001年12月から2006年2月までに計234病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を行った。局所完全切除基準を、病変を一括切除し、かつ側方断端陰性、深部断端陰性とし、また治癒切除基準を局所完全切除であり、病理組織学的検索にて分化型腺癌優位、粘膜内癌、脈菅侵襲陰性を全て満たすものとをして成績を検討した。病変全体としては局所完全切除率179/234=76.5%,治癒切除率は153/234=65.4%、遺残再発率5/234=3.7%であった。ガイドライン内病変は154病変あり、局所完全切除率130/154=84.4%,治癒切除率は120/154=77.9%、遺残再発率2/154=1.3%であった。適応拡大病変としてUl(-)の分化型粘膜内癌で腫瘍径2cmを超える病変は32病変あり、局所完全切除率19/32=59.4%,治癒切除率は17/32=53.1%、遺残再発率1/32=3.1%であった。Ul(+)の分化型粘膜内癌で腫瘍径3cm以下の病変は29病変あり、局所完全切除率17/29=59.4%,治癒切除率は15/29=53.1%、遺残再発率1/29=3.4%であった。分化型sm1癌で腫瘍径3cm以下の病変は17病変あり、局所完全切除率11/17=64.7%で、遺残再発率0%であった。Ul(-)の未分化型粘膜内癌で腫瘍径2cm以下の病変は11病変あり、局所完全切除率7/11=63.6%、遺残再発率0%であった。完全適応外病変は8病変あり、局所完全切除率6/8=75.0%、遺残再発率1/8=12.5%であった。適応拡大病変における一括切除困難例は、原因として止血や剥離に時間がかかり最後まで剥離せずスネアリングにて分割になった症例や線維化に対して切除を断念した例や分割の要因になった症例が多かった。当院は主にフレックスナイフを用いているが、症例を呈示し適応拡大例に対する考え方や工夫を考察する。
索引用語 ESD, 早期胃癌