セッション情報 ワークショップ1

タイトル W-007:

腹腔鏡下胃分節切除術を施行した鳥肌胃炎を伴う早期胃癌の一例

演者 山田 直史(古賀総合病院 外科)
共同演者 谷口 正次(古賀総合病院 外科), 木下 真理子(古賀総合病院 外科), 吉川  智(古賀総合病院 外科), 中島 健(古賀総合病院 外科), 後藤  崇(古賀総合病院 外科), 山本 淳(古賀総合病院 外科), 河野 通一(古賀総合病院 外科), 指宿 一彦(古賀総合病院 外科), 古賀 和美(古賀総合病院 外科), 黒岩 麻里子(古賀総合病院 放射線科), 木原 康(古賀総合病院 放射線科), 野村 郁夫(古賀総合病院 内科), 田井 博(古賀総合病院 内科)
抄録 【はじめに】若年者に多く見られHelicobacter pylori (HP)感染によると考えられている鳥肌胃炎に胃癌とりわけ未分化型胃癌が合併した症例の報告が近年増加している。今回我々も鳥肌胃炎の合併した早期胃癌を経験し、腹腔鏡補助下胃分節切除術を施行したので報告する。【症例】患者は36歳、女性。2005年10月21日、人間ドックでの上部消化管内視鏡で鳥肌胃炎と胃体中部前壁に退色調で不整形の陥凹性病変を指摘され、生検で低分化腺癌と診断された。生検組織のGiemsa染色で、HPも多数確認された。11月7日当院外科紹介受診し12月2日に手術目的にて入院となった。腹部CTでは領域リンパ節の腫大は認めず、肝転移も認めなかった。12月5日に腹腔鏡補助下胃分節切除術を施行した。術中迅速病理で腫瘍近傍リンパ節には転移がないことを確認した。病理組織診断ではAdenocarcinoma, poorly differentiated with signet-ring cells {p,Type 0IIc, T1(M),1.1×1.3cm, por+sig. ly0, v0, PM-, DM-} であった。術後経過は良好で21日目に退院となった。【考察】鳥肌胃炎に合併した早期胃癌症例を経験したので報告する。若年者特に女性に多く見られる鳥肌胃炎は、春間らによると未分化型胃癌のリスクファクターとして理解され、早期に除菌すべき胃炎とされている。鳥肌胃炎に合併する早期胃癌の多くは胃体部にある退色調のIIc型未分化型腺癌である。若年者であるため、治療の主目的は根治であるが、若年であるが故に機能も温存したい。未分化型であるため内視鏡的治療の対象とはなりにくく、今回我々が施行したリンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下胃分節切除術は根治性と機能温存(術後のQOL)の点から術前診断で粘膜癌と判断された症例には最適な治療法と考えた。ただし、sentinel nodeあるいは腫瘍近傍リンパ節の術中病理診断は必須である。
索引用語 鳥肌胃炎, 腹腔鏡下胃切除術