セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | S3-005:糖尿病における脂肪肝の位置づけ |
演者 | 織部 淳哉(大分大学 医学部 第一内科) |
共同演者 | 清家 正隆(大分大学 医学部 第一内科), 針 里栄(大分大学 医学部 第一内科), 姫野 克郎(大分大学 医学部 第一内科), 高橋 祐幸(大分大学 医学部 第一内科), 加隈 哲也(大分大学 医学部 第一内科), 吉松 博信(大分大学 医学部 第一内科), 阿部 信行(内科阿部医院) |
抄録 | 【目的】当科では,糖尿病患者で脂肪肝を有すると高血圧,高脂血症の合併がより高率に見られ,また糖尿病のコントロールに悪影響を及ぼすことを報告してきた.そのため,脂肪肝の診断と治療は糖尿病の治療戦略の中で重要である.脂肪肝の診断は腹部超音波検査でなされるが,ALTが基準値内である症例には検査されないことも多い.そこで,今回我々は,糖尿病合併脂肪肝とALTの関連やALTが正常である糖尿病合併脂肪肝の臨床背景について検討を行った.【方法】2003年度に糖尿病専門クリニックで腹部超音波検査を施行された糖尿病患者670名のうち,HCV抗体またはHBs抗原が陽性であった症例を除外した524例を対象とした.脂肪肝の有無を調べて脂肪肝群と非脂肪肝群に分けALTの分布を調べた.次に,ALTが20IU/L未満で脂肪肝を有する症例と脂肪肝の合併がない症例において,また脂肪肝群でALT20IU/L以上と未満の症例に分けて年齢,BMI,HbA1cや高血圧,高脂血症の合併など臨床背景について検討した.統計学的検討はMann-WhitneyのU検定により行った.【結果】脂肪肝群242例のうちALT20IU/L未満の症例は49例(20.2%),また本施設のALTの正常値である35IU/L以上の症例は103例(42.5%)であった.一方,非脂肪肝群は282例で,ALT20未満は116例(41.2%),35IU/L以上は48例(17.0%)であった.ALT20IU/L未満で脂肪肝合併群と非合併群の比較では,年齢では有意差はなかったがBMI, HbA1cともに脂肪肝群が有意に高値で,高脂血症,高血圧の合併は脂肪肝群の方がより多く見られた.脂肪肝群におけるALT20IU/L未満と20IU/L以上の症例の比較では,年齢はALT20IU/L未満の群が有意に高くBMIやHbA1c,高血圧や高脂血症の合併には差は認められなかった.【結論】糖尿病患者において,ALT高値例はもちろん,ALTが正常であっても20%の脂肪肝の合併があり,その評価は腹部超音波検査で行う必要がある. |
索引用語 | 脂肪肝, 糖尿病 |