抄録 |
【目的】肥満は脂肪肝の原因としてよく知られているが、我々は脂肪肝のない肝機能障害も肥満者に多いことを報告してきた。今回は、人間ドック受診者を対象に肝炎ウイルス保有者と、脂肪肝、飲酒者を除いた群で、生活習慣病と肝障害との関連について検討した。【対象と方法】平成16年度、沖縄県総合保健協会の人間ドックを受診した11916人中(男性6748人、女性5168人)、HBs抗原およびHCV抗体が共に陰性、脂肪肝および飲酒歴のない6043人(男性2289人、女性3754人)を対象とし、肝機能障害(ALT:男性≧45 IU/L、女性≧40 IU/L)について、性、年齢、肥満(BMI≧25)、腹囲(男≧85cm、女≧90cm)、高脂血症(T-chol≧220mg/dl and/or TG≧150mg/dl)、高血圧(収縮期≧140mmHg and/or拡張期≧90mmHg)、ヘモグロビン(男Hb≧16g/dl、女Hb≧14 g/dl)、尿酸(≧7.0mg/dl)、糖尿病(FBS≧126mg/dl and/or HbA1c≧6.1%)との関連について検討した。【結果】生活習慣病(肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病)の合併を肝機能障害群と肝機能正常群で比較すると、男性では肥満(30.7% vs 25.7%:p=0.0014)、高脂血症(44.4% vs 34.4%:p=0.0239)、女性では肥満(28.4% vs 16.9%:p=0.0046)の合併が有意に高かった。また、肝機能障害群は男性において、ヘモグロビン, 尿酸(それぞれp<0.001)、腹囲(p=0.0020)、TG(p=0.0182)が高値で、年齢(p<0.001)は若かった。女性ではヘモグロビン(p=0.0278), TG(p=0.0113)、尿酸(p=0.0047)が高値であった。多変量解析では、肝機能障害に寄与する因子として、男性では年齢(p<0.001)、腹囲(p=0.017)、尿酸(p=0.045)、女性ではヘモグロビン(p=0.024) が有意であった。【結語】肝機能障害群は肝機能正常群と比べ、男女ともに肥満の合併が多かった。肝機能障害に寄与する因子は男性では年齢(p<0.001)、腹囲(p=0.017)、尿酸(p=0.045)、女性ではヘモグロビン(p=0.024) であった。 |