セッション情報 一般演題

タイトル 3:

胃・十二指腸病変を合併した潰瘍性大腸炎の一例

演者 村上 右児(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 久部 高司(福岡大学筑紫病院 消化器科), 長濱 孝(福岡大学筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 宗 祐人(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大重 要人(福岡大学筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部), 真武 弘明(またけ内科胃腸科クリニック)
抄録 症例は25歳、男性。2005年8月初旬ごろから下痢・血便が出現するようになり、8月下旬に近医受診し潰瘍性大腸炎(以下UC)と診断された。Mesalazine2250mg/dayを内服開始するも血便改善せず、Steroid投与されたところ血便消失した。しかしSteroid減量中に再燃したため、当院紹介入院となった。入院時心窩部痛の訴えおよび1日数回の血便を認めた。下部内視鏡検査では中等度活動期の全結腸型UCの所見であり病理でも炎症性肉芽組織やリンパ濾胞を認めるなどUCに矛盾しない所見であった。上部内視鏡検査では胃角から幽門にかけて発赤および小びらんが多発し、同部から連続して十二指腸の球部および第2部にかけてび慢性にそぞう粘膜、発赤、びらんを認めた。病理所見は胃に慢性活動性炎症を認め、十二指腸ではcrypt-associated granulomaを伴う中等度活動性の炎症所見を認めた。上部消化管造影では二重造影で前庭部から体下部に微細なバリウム斑を認め、前庭部小弯の粘膜はやや肥厚した印象であった。十二指腸球部から第2部は浮腫状でKerckring皺壁の腫大を認め、胃と同様の微細なバリウム斑が多発していた。Helicobacter pyloriの検索のため尿素呼気テストを行ったところ陽性と診断された。画像所見と併せ胃・十二指腸病変を伴うUCと診断し、入院後Mesalazine2250mg/dayを継続投与するとともに750mg/dayを粉砕したうえで併用投与したところ次第に自覚症状、下痢ともに改善した。治療開始後8日目に上部消化管内視鏡を再検したところ胃および十二指腸のびらんは消失したが粘膜の発赤、浮腫は残存していた。経過良好につき治療開始後12日目で退院し、外来通院となった。胃・十二指腸病変を伴うUCは稀であり、今回医中誌およびPubMedで検索しえた限りでは17例の報告を見るのみである。本例はMesalazine粉砕投与を併用することで症状および画像所見の改善につながるなど特徴的な臨床経過を示した。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 胃・十二指腸病変