セッション情報 一般演題

タイトル 102:

RT+FMP療法が腹部大動脈リンパ節転移、下大静脈腫瘍塞栓による下大静脈症候群に奏効したHCCの一例

演者 太田 聡(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター)
共同演者 古藤 真里(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター), 横田 昌樹(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター), 黒岩 俊郎(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター), 平田 秀紀(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター), 西山 憲一(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター)
抄録 (目的)進行肝細胞癌への治療は未だ困難であり脈管浸潤、リンパ節転移を伴う症例の予後は不良であり確立された治療法は無い。今回我々は原発HCCはコントロールできたが遠隔リンパ節転移及び脈管浸潤(下大静脈腫瘍塞栓)の治療に苦慮し、RT+FMP(5-fluorouracil, mitoxantrone, and cisplatin)療法にて転移巣の縮小と下大静脈症候群の改善をみたが短期に再発進行し二度目のFMP治療には反応せず不幸な転機をとった症例を経験したのでここに報告する。症例) 64才男性(主訴)黒色便(家族歴)父、胃癌(生活歴)喫煙歴なし。元来大酒家(現病歴)1993年よりHCCにて当院にてPEI(T)加療中であった。2000年1月S84,S87にHCC再発を認めS8 subsegmentectomy及びS7 partial resection施行。病理診断はmoderatetly to poorly differentiated HCCであった。以降も再発を認めTAE,TAIにて加療、2004年以降肝内に再発を認めなかった。2004年3月にCT上SMA近傍に径2cmのリンパ節腫大を認めるもサイズ変化認めず経過観察。2004年8月から腰痛出現、MRIにて同部位のリンパ節増大を認めたためHCCのリンパ節転移と診断、放射線治療(total50Gy)施行。放射線治療後同部位よりやや足側のIVC内に腫瘍塞栓を認め追加放射線治療施行(total40Gy)。近接したリンパ節の腫大を認めたがこれ以上の放射線治療は困難と判断、FMP治療施行した。FMP療法により下大静脈症候群による下肢浮腫の著明改善を認めたが背部疼痛が増強、NSAIDsにて対応していたが2005年3月10日頃より黒色便を認め上部消化管出血を疑い、3月18日当院入院となった。臨床経過)上部消化管内視鏡からAGMLによる出血と診断、APC焼灼により止血。下大静脈症候群による下肢浮腫の増悪を認めたために、一回目と同じプロトコールにてFMP療法施行したが下肢浮腫の改善は得られずCT上もIVC腫瘍塞栓の足側への進行を認めた。以降緩和治療にて経過したが徐々に全身状態悪化し2005年6月11日永眠された。 (考察)肝細胞癌のリンパ節転移、脈管浸潤に対し有効な治療法は未だ確立されていない。今回我々は一度はRT+FMP治療に反応を示したものの2度目は効果無く治療に苦慮した症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝細胞癌, 下大静脈症候群