セッション情報 一般演題

タイトル 13:

術前確定診断に苦慮し、診断及び治療目的にESDにて切除した胃脂肪腫の一例

演者 原口 和大(北九州市立医療センター 消化器内科)
共同演者 貞元 洋二郎(北九州市立医療センター 消化器内科), 多喜 研太郎(北九州市立医療センター 消化器内科), 岩佐 勉(北九州市立医療センター 消化器内科), 奈須 俊史(北九州市立医療センター 消化器内科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器内科), 三澤 正(北九州市立医療センター 消化器内科), 豊島 里志(北九州市立医療センター 病理), 田中 晃(門司労災病院 内科)
抄録 【症例】59歳、女性【主訴】なし【既往歴・家族歴】特記事項なし【現病歴】平成16年3月、近医にてスクリーニング目的に上部消化管内視鏡検査を施行され、胃体上部後壁に粘膜下腫瘍を認めた。平成17年10月の同検査にて腫瘍は増大傾向であったため、門司労災病院に紹介となった。胃透視・CT・EUSによる精査にて胃脂肪腫などの粘膜下腫瘍を最も疑われたが、サイズが大きく増大傾向があるため、確定診断目的に、11月2日当科紹介受診。11月15日、胃粘膜下腫瘍に対する超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)目的に当科入院となった。【入院経過】胃体上部後壁の粘膜下腫瘍は、EUS上第3層と連続する、約40mm大の肝臓実質よりやや高エコーの腫瘤として描出された。穿刺吸引細胞診を施行すると、腫瘍は非常に柔らかく、液体成分しか採取できず、病理学的診断には至らなかった。腫瘍が柔らかい点や、CTでのdensityが脂肪成分とほぼ同一である点から、胃脂肪腫が疑われたが、EUS所見は必ずしも脂肪腫に典型的といえず、脂肪肉腫なども完全には否定できなかった。粘膜下層に限局する腫瘍であり、診断及び治療目的にESDを選択し、インフォームド・コンセントのもと、平成18年1月10日、ESDにより容易に一括切除しえた。腫瘍は45×25mm大の黄白色表面平滑な腫瘤であり、病理組織学的に成熟した脂肪細胞からなり、悪性所見認めず、脂肪腫と診断した。【考察】胃脂肪腫は幽門前庭部に好発し、非上皮性良性腫瘍の中では、平滑筋腫、神経系腫瘍に次ぐ頻度であるが、消化管脂肪腫の中で胃脂肪腫は比較的まれとされている。今回術前確定診断に苦慮し、診断及び治療目的にESDにて切除した胃脂肪腫の一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃脂肪腫, ESD