セッション情報 | ワークショップ1 |
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タイトル | W-019:多彩な消化管病変を呈したマントル細胞リンパ腫の一例 |
演者 | 江頭 一成(九州大学病院病態機能内科学) |
共同演者 | 梅野 淳嗣(九州大学病院病態機能内科学), 松本 主之(九州大学病院病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学病院病態機能内科学), 王寺 裕(九州大学病院病態機能内科学), 八尾 隆史(九州大学病院病態機能内科学), 志方 健太郎(九州大学病院病態機能内科学), 志方 建(九州大学病院病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学病院病態機能内科学) |
抄録 | 症例は70歳、男性。2005年10月より両顎下腺腫脹を自覚し、近医を受診した。両顎下、右頸部、両腋窩リンパ節腫脹に加え、上部内視鏡で胃に腫瘤を認め、生検で悪性リンパ腫が疑われたため、11月9日に当院入院となった。入院までの2ヶ月で約10kgの体重減少も認め、現症で、顎下、頚部、腋窩のほか、鎖骨下・鼠径リンパ節腫脹も腫大しており、腹部正中右に手拳大の腫瘤を触知した。上部消化管X線・内視鏡検査で下部食道、十二指腸球部に多発する粘膜下腫瘍様隆起を認め、胃体部の皺襞の腫大、前庭部には馬蹄形様の周堤を伴う陥凹性腫瘤を認めた。大腸X線・内視鏡では、回盲弁~上行結腸にかけて多結節状の長径8cm大の巨大な粘膜下腫瘍様隆起を認め、遠位大腸へ重積していた。隆起の表面には耳介様周堤を伴う潰瘍が多発していた。また回腸にはMLP(multiple lymphomatous polyposis)様の多発小隆起を認めた。胃、十二指腸、回腸、大腸病変の生検および、右鼠径リンパ節生検にて中型から大型の異型リンパ球の増殖を認め、びまん性大細胞型リンパ腫が疑われたが 免疫染色で、Bcell マーカーのCD20・CD79a に加え、CD5、bcl-2および、cyclinD1に陽性であることから、マントル細胞リンパ腫blastoid bariantと診断した。骨髄浸潤を認めており、臨床病期は4期であった。R-CHOP療法を5コース行い、部分寛解となった。マントル細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の3-10%、消化管悪性リンパ腫の中では1%前後を占める稀な疾患であり、消化管ではMLPを呈するものが多い。自験例は、全消化管に病変を認め、大腸と胃には大きな腫瘤を形成しており、興味深い症例と考えられ、若干の文献的考察を加え、報告する。 |
索引用語 | マントル細胞リンパ腫, non-MLP |