セッション情報 一般演題

タイトル 26:

保存的治療にて軽快した胃蜂窩織炎と考えられた1例

演者 藤瀬 剛弘(佐賀大学医学部内科)
共同演者 水口 昌伸(佐賀大学医学部放射線科), 白石 良介(佐賀大学医学部内科), 杉本 望(佐賀大学医学部内科), 山口 加奈子(佐賀大学医学部内科), 雨森 貞浩(佐賀大学医学部内科), 坂田 資尚(佐賀大学医学部内科), 渡邉 顕一郎(佐賀大学医学部内科), 大谷 響(佐賀大学医学部内科), 下田 良(佐賀大学医学部内科), 綱田 誠司(佐賀大学医学部光学医療診療部), 坂田 祐之(佐賀大学医学部光学医療診療部), 岩切 龍一(佐賀大学医学部内科), 藤本 一眞(佐賀大学医学部内科)
抄録 【症例】14歳、男性。【主訴】腹痛。【現病歴】2004年11月中旬より心窩部から右下腹部を中心に間歇性の腹痛が出現し近医を受診。上部消化管X線検査にて胃体部の広範な皺襞の腫大・肥厚を指摘され,当院紹介受診、精査加療目的に当科入院。【既往歴・家族歴】特記事項なし。【身体所見】腹部所見として心窩部から右下腹部に圧痛を認めるものの筋性防御やBlumberg徴候は認めず。【検査所見】血液検査にて炎症所見の上昇、低蛋白血症を認めた。上部消化管内視鏡検査では体上部から前庭部にかけびまん性に小潰瘍、びらん多発および、粘膜の高度な浮腫を認め胃壁の伸展不良をともなっていた。上部消化管X線検査では胃は全体的に伸展不良で、あまり浮腫・潰瘍は目立たず、area模様の粗大化、皺襞の肥厚が中心であった。上部消化管X線や上部消化管内視鏡検査の結果からは鑑別として感染症、悪性リンパ腫、胃癌などが考えられた。血液検査にて可溶性IL-2受容体の軽度上昇を認め、生検組織診断にては高度な好中球浸潤を認めるものの悪性を示唆する所見は認めなかった。【入院後経過】入院後絶食・輸液管理とし抗生剤(CTM)を使用開始した。経過とともに腹部症状や炎症所見の上昇は軽減を認め、また経過中2度の上部消化管内視鏡を行ったが、粘膜の浮腫性の変化や伸展不良などの所見は軽減し、生検組織診断にても悪性リンパ腫や胃癌を疑わせる所見は認めなかった。身体所見、血液検査所見、上部消化管X線・内視鏡所見などの経時的な変化もあわせて胃蜂窩織炎と診断した。食事開始とともに抗生剤(LVFX)内服としたが、腹部症状の再燃や炎症所見の増悪は認めず、経過良好にて退院となった.【考察】胃蜂窩織炎は比較的稀な疾患であり、早期に適切な診断を行えば化学療法を主体とした保存的治療にて治癒した報告も近年認められ、本症例においても同様に保存的治療にて改善を認めている。過去において過大な手術を行った例も少なくなく、本症例に対する認識は早期診断・治療を含め臨床上重要であると考え報告する。
索引用語 蜂窩織炎, 保存的治療