セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 36:全周性に病変を認めた表層拡大型十二指腸癌の1例 |
演者 | 小野 陽一郎(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 大原 次郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 南 星旭(福岡大学筑紫病院 消化器科), 長浜 孝(福岡大学筑紫病院 消化器科), 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 笠 普一郎(福岡大学病院 第一外科), 池田 丈明(福岡大学病院 第一外科), 角 俊一郎(福岡大学病院 第一外科), 安波 洋一(福岡大学病院 第一外科), 池田 靖洋(福岡大学病院 第一外科), 濱田 義浩(福岡大学病院 病理部), 中山 吉福(福岡大学病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部) |
抄録 | 症例は60歳代の男性。2005年10月8日に検診にて上部消化管内視鏡(GIF)を施行。十二指腸下行脚に全周性の白色隆起を認めた。生検で腺管腺腫との診断も高分化腺癌も否定できないため精査・加療目的で当院紹介入院。当院GIFにて下行脚に全周性の丈の低い約40mmの隆起性病変を認めた。表面は絨毛が腫大した様な白色調の部位と絨毛形態が不明瞭化した発赤調の部位から構成され全体としては凹凸に乏しかった。主乳頭は緊満のある結節として観察されたが伸展不良所見は認めなかった。生検では下行脚隆起性病変、主乳頭部とも腺腫の診断、主乳頭部は一部高度異形成を示した。また、低緊張性十二指腸造影では軽度の管腔の伸展不良を伴うも硬化所見はみられなかった。上部消化管超音波内視鏡(EUS)ではVater乳頭を含んだ周囲の下行脚に全周性の壁肥厚を認め、粘膜・粘膜下層の肥厚は目立つも筋層・漿膜・漿膜下層の肥厚はなかった。更に腹部エコー(US)、腹部CT、MRCP、ERCPなど施行したが、胆嚢結石を認めるのみで明らかな多臓器への浸潤、転移、胆管・膵管の拡張はみられなかった。Vatar乳頭を含み腫瘍径が広範であり外科的治療の適応と考え、福岡大学病院第1外科にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)を施行。病理組織結果は高分化型腺癌、m、ly 0、v 0であった。原発性十二指腸癌は全消化管悪性腫瘍の0.03~0.25%と稀な疾患である。最近ではquality of lifeや機能温存を重視し内視鏡的切除が多く行われているが、1)深達度sm症例、2)深達度mでも一部陥凹型や内視鏡操作困難な症例、3)特にVater乳頭部近傍や腫瘍径の大きな症例はPpPDを含む外科的切除の適応と考えられる。今回、我々は全周性に病変を認めた表層拡大型の十二指腸癌のPpPD例を経験し文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 十二指腸癌, 表層拡大型 |