セッション情報 一般演題

タイトル 49:

原発性空腸癌の一例

演者 北村 陽介(国立病院機構 別府医療センター 消化器科)
共同演者 古賀 荒太郎(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 村尾 寛之(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 鶴田 悟(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 五十嵐 久人(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 良永 雅弘(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 恵良 昭一(国立病院機構 別府医療センター 臨床検査科), 赤嶺 康夫(国立病院機構 別府医療センター 消化器科), 赤星 朋比古(国立病院機構 別府医療センター 外科), 東 秀史(国立病院機構 別府医療センター 外科)
抄録 症例は85歳男性.主訴は嘔吐,食欲不振,脱水.左肺癌の既往歴あり.平成17年12月25日より嘔吐,嘔気が出現.原因検索目的に平成18年1月16日に当科入院.消化管精査目的にて上部下部内視鏡検査を施行するも明らかな狭窄を来たす器質的疾患は認めなかった.小腸範囲に関しても腹部造影CT施行にて,十二指腸水平脚に軽度拡張を認める以外明らかな狭窄部位や病変は認めなかった.症状改善傾向にて5分粥まで食事再開し嘔吐消失,本人希望もあり自宅にて経過観察としたが症状再燃.平成18年2月8日に再入院.入院後脱水症状のため補液とし状態安定後,経口小腸造影検査施行し十二指腸水平脚~空腸に軽度拡張と管腔狭小化を疑う所見を認め病変の存在が示唆された.胃内視鏡検査施行し,十二指腸の3nd portionより肛門側(トライツ靭帯付近)まで内視鏡を挿入,同部位に管腔を覆うように腫瘍性病変あり管腔は狭小化していた.再度低緊張性十二指腸造影検査を施行,トライツ靭帯付近に全周性狭窄を伴った病変を認め,表面性状は周囲と異った結節状隆起で,管腔狭窄範囲は約1.5cm程であった.以上の結果から十二指腸又は空腸癌を疑った.生検結果はmoderately differentiated adenocarcinoma. 肺癌はSCCであり小腸原発と考え画像上明らかな他臓器転移もなく3月7日に当院外科転科,3月10日に空腸切除術を施行,全周性輪状狭窄型の空腸癌であった.原発性空腸癌は比較的稀な疾患であり,小腸腫瘍の発生頻度は全消化管腫瘍の約3%で,十二指腸を除く小腸癌は全消化管腫瘍の0.1~0.3%となっている.特に乳頭部より肛門側の病変は狭窄症状を来たすまで無症状のことが多く早期発見は困難なのが現状である.本症例は上部内視鏡検査にて生検診断し得た原発性空腸癌の一例であり若干の考察を加えて報告とする.
索引用語 空腸癌, 原発