セッション情報 一般演題

タイトル 177:

うっ血性心不全の経過中に肝障害を認めた高齢者Osler-Weber-Rendu病の1例

演者 小森園 康二(鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科)
共同演者 橋元 慎一(鹿児島大学医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 田ノ上 史郎(鹿児島大学医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学), 柴藤 俊彦(鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科), 迫 勝巳(鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科), 坪内 博仁(鹿児島大学医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 [症例]患者は80歳の女性。近医で心房細動、うっ血性心不全に対してメチルジゴキシン、フロセミドを投与されていたが、肝機能異常が出現し精査加療目的で当科紹介入院となる。既往歴に頻回の鼻出血に対する焼灼術と下肢静脈瘤の手術歴がある。家族歴として実父と実姉が脳血管障害にて40歳台で死亡。入院時理学所見では頬部及び口唇に毛細血管拡張、肝腫大と下腿浮腫を認めた。生化学検査ではAST23、ALT13、ALP963、γ-GTP241と胆道系酵素優位の肝機能異常を認めた。HCV抗体、HBs抗原、抗核抗体、抗ミトコンドリアM2抗体は全て陰性。。胸部レントゲン写真で心陰影拡大(CTR:59%)、心エコーにて心係数5.07L/min/m2と高心拍性心不全を認めた。腹部超音波検査では肝動脈、静脈、門脈の著明な不整拡張とColor Doppler 所見より肝動静脈瘻が認められた。腹部CT検査でも同様に肝内動脈、静脈、門脈の著明な拡張を認めた。上記所見からCuracao criteriaに基づきOsler-Weber-Rendu病/遺伝性出血性毛細血管拡張症(以下HHT)と診断した。[考察]HHTは全身の血管壁の脆弱性より出血傾向を伴った稀な常染色体優性遺伝性疾患である。うっ血性心不全の経過中にしばしうっ血肝による肝機能異常が認められるが、本症例はCuracao criteriaに基づき、出血傾向、毛細血管拡張、動静脈瘻の3項目を満たしHHTと診断した。著明な肝動静脈瘻を伴うHHTは高心拍出性心不全、肝機能異常、門脈圧亢進症を合併することが知られており、稀な疾患ではあるが日常診療において念頭におくべき鑑別診断と考えられたので文献的考察を含め報告する。
索引用語 肝動静脈瘻, 肝機能異常